ムジナ退治 その6
やっと解放された3人。ガックリうなだれてベンチに座っている。
(詩音)「ムジナは生きてたんじゃないの!」
(静流)「そのようだね」
しばらくの間沈黙である!
(詩音)「先生は裸を見せるの慣れてるんだろうけどさ、あたしたちは困るんだからね」
(静流)「何てこと言う! 内心書下げるぞ!」
(羽純)「2人とも落ち着きなよ」
(静流)「まずあの幻術をどうにかしないと・・・」
(羽純)「そうだね。それには何か作戦を立てないとね」
でも、あのタヌキ(ムジナ)は500年は生きているそうだ。
人をだますのが得意なタヌキをだませるのだろうか?
人間の知恵では太刀打ちできるかどうか疑問だ。
ああだこうだと話をしているうちに、詩音が驚いたように叫んだ。
(詩音)「あれぇ? 大変だよ説明会の時間すぎてるじゃない!」
「あれぇ?」「本当だぁ!」
静流も羽純も声を上げた。
時計を見ると、すでに午後一時すぎ。説明会がとっくに始まっている時刻だ。
いつの間にこんなに時間が経ったのだ!
いやいや、それよりもだな・・・
(羽純)「あたしたち遅刻じゃないの」
羽純と詩音もまずいが、静流はもっとまずい。
さんざん醜態や痴態を演じた挙句、教師なのに説明会に遅刻とは。
(静流)「うわ、急いでいかなくちゃ。でもおかしいな?」
とにかく3人は体育館に走って行った。
ところが、
「あれ?」
生徒たちが、生徒たちが・・・止まっている。
(静流)「こ、これは一体?」
(ムジナ)「驚いたか、スーパーガールども」
(静流)「あ、ムジナ!やっぱり生きてたのね」
(ムジナ)「あんなので死ぬものか。おれはお前たちの何倍も生きているんだ」
(羽純)「この人たちをどうしたのよ?」
(ムジナ)「へへへ、時間を止めてやったのよ」
(詩音)「そんなことまでできるの?」
見ての通りである。
話の途中で、手を振り上げている途中で、笑っている途中で・・・
体育館の中にいる全員が止まって固まっている。
男子も女性も先生も・・・
「元に戻しなさいよ!」「いやだね」と、押し問答が続く。
これでは埒が明かない!
(静流)「今度は容赦しないよ」
「変身」と唱えて、3人はスーパーガールになり、ムジナ男を取り囲んだ。
(ムジナ)「おっ 来るか」
答え終えるよりも早く、ブルーの水鉄砲がムジナに向かって放射された。
(W)「うわぁ、ちょっと、誰に向かって撃ってるのよ!」
声が上がったのは、ホワイトであった。
(W)「ブルー何やってんの、あたしだよあたし」
かろうじて氷のバリアを張ったが、氷に当たった水はすさまじい水しぶきを上げて砕ける。
コンクリートの壁でも吹き飛ばす威力だ。
当たったらひとたまりもないところだった。
(B)「うわ、ごめん! おかしいな?」
(R)「ブルー落ち着いてよ、あ!お前は!」
レッドの叫び声に振り向いてみると、レッドが2人立っている。
「あたしだよ」「いやあたし」と両方が叫んでいるが、
ブルーとホワイトは唖然としている。
(B)「あ、あ、どっちが本物なんだ?」
(両Red)「ええい面倒だ!」
2人のレッドは、組んだ手の指先から猛烈な火炎を噴き出しお互いに浴びせだした。
護符の力がある炎だ。たちまち片方が燃え出した。
(ムジナ)「わぁミスった。これはたまらん」
ムジナは姿を現して逃げようとした。今だ。
(W)「逃がすものか!」
ホワイトは足を開いて両手を組んで構えた。
呪文を唱えながら冷凍噴霧を指先から噴射すると、
(ムジナ)「うわ、冷たいぃ。」
逃げようとしたムジナの足が凍り付いている。
(W)「さあ、もう逃げられないよ」
(ムジナ)「あ、待ってくれ、うわああ」
真っ白になったムジナはだんだん透明なっていき、やがて消えた。
(W)「やれやれこれで良し。ようやく片付いたね」
3人はペタンとしりもちをついた。
(B)「手ごわかったね、先生」
(W)「本当だよ。でもよかった。あ、ここにいるとまずいな」
体育館の外に出ると中の人たちは動き出している。
「あと10分で、説明会を開始します」と、アナウンスも流れている。
何かの事情で開始が遅れているようだ。
彼女たちはスッと移動すると変身を解いた。
(詩音)「さあ、行こうか」
詩音が中に入ろうとすると、
(羽純)「まだ10分あるよね。その前に」
(詩音)「そっか、お花摘み・・・ね」
説明会は長いし「今のうちに」と、彼女たちはお手洗いに向かった。
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