解呪のやり方 その3
係の男はマシーンの蓋をあけっぱなしで行ってしまった。
(詩音)「あれ、ずいぶん不用心なものだな」
中には山ほどぬいぐるみが入っているが、詩音は手に取って見てみたくなった。
(詩音)「ちょっとのぞくだけならいいよね」
ぬいぐるみをソーッとかき回してみる。
一つ二つ手に取ってみるが、
(詩音)「やっぱり同じものは一つもないようだね」
でもこれがもし本当に元は人間だったと思うと・・・身震いがする。
丁寧に元に戻して「一応閉じておくか」と、ガラス蓋を閉じようとしたが、
(詩音)「あれれ、閉まらない」
びくともしない。
(詩音)「おかしいな。ロックの機能でもついてるのかな」
「お前の知りたいこと教えてやろうか」
(詩音)「あ、えぇーっ?!」
頭のすぐ後ろから声がした。
ギョッとして振り返り見回すが誰もいない。
(詩音)「どこ?誰なのよ!」
(機械)「こっちだよこっち」
(詩音)「えぇぇ、ウソォ!」
機械がしゃべっている。機械の本体がしゃべっている!
気がつくと変な靄が室内にたちこめ始めた。
(機械)「もう、緊急連絡とやらは通じないぜ」
この隔離部屋は女性だけになると扉にロックがかかり、この機械が自動的に作動する。
という仕組みらしい。
そして、女をぬいぐるみに変換して売りさばくと、この機械は言っている。
(機械)「誰もいなくなった部屋に残ったのが、お前の命とりだ」
(詩音)「なんですってぇ!」
詩音はブルーに変身した。
(機械)「赤のスーパーガールも、緊急連絡をしようとしてたな」
(B)「それじゃ、やっぱりお前が犯人だな」
(機械)「そうだよ。おっと、お前がどんな能力を持ってるか知らないが無駄だぜ。お前もあの女と同じ運命さ」
(B)「何を言っているの!」
ブルーが両手を振り水を噴きだそうとすると、
(機械)「おっと、いいのかな。抵抗すると、このぬいぐるみを全部破いてしまうぞ。そうすれば、全員死んじまうぜ」
いつの間にか、クレーンのアームが刀に変化して光っている。
触れればぬいぐるみはスパッといってしまうだろう。
(機械)「さあ、どうする」
(B)「そうか、羽純もそれを
躊躇したのか」
(機械)「その通り。あの女も「人質を傷つけるな」とか言ってたな」
(B:まずいな)
ブルーは両腕を下ろした。
機械はまさにその瞬間を狙っていたのだ!
「今だ!」「あ!」
ものすごい吸引力で、ブルーはUFOキャッチャーの中に吸い込まれてしまった。
ほんの一瞬の「フッ」とした隙をついてきた。まさにブルーは油断だった。
(B)「あ、あ、キャーァ!」
バタンと蓋が閉まった。
中にはピンク色の煙のようなものがモウモウとしている。
ブルーはあわてて水噴射をしようとしたが、なぜか術も使えないし力もまったく出ない。
(B)「なんだどうしたんだ。一体どうなっちゃたんだ!」
ブルーはガラスをバンバンたたいて暴れていたが、すぐに静かになった。
ブルーもぬいぐるみの山の中に転がっている。
手足をペロンと開いた格好になって。
(機械)「へへへ、このピンク色の液体は超一級の効力があるんだな。ベネチアンマスクの能力も封じることができるんだよ。
これをたんまり浴びてしまったお前はただの女。おまけにもう変身呪文を唱えても元に戻れないのさ」
さすがドラコメソッド商会の品。すごい威力!
(機械)「よしよし、あと1人か。ツバーン様も3人を始末するのを待ってるからな。それにしても・・・」
ブルーのぬいぐるみをアームを使って摘まみ上げる。
「フーン。これがブルーかぁ」
しげしげと見ながら、
「しかし、この前の女といい、こいつといい中学生にしてはすごくいい体をしてるな」
アームを器用に動かして、彼女の体中を押したりつねったり。
最後に土手や胸、尻をアームでズイズイと押し付けてみる。
(機械)「凄い膨らみようだぜ。うん、良い作品に出来あがってる」
満足すると「もう少しかき混ぜておくか」と言って、他のぬいぐるみで隠すようにした。
係の男と静流が戻ってきた。
(静流)「それじゃ、ぬいぐるみはどこの業者が来ているかわからないってことなんですね」
ぬいぐるみUFOキャッチャーの契約は打ち切ったことになっていた。
(男)「そうですね。弱ったな。誰がこんなことするんだろ」
どこかの誰かが勝手に機械を置いて行ったようだ。
大掛かりで手の込んだことをするやつがいるものだ。
男は困惑しながら「本社に戻って調べなきゃ」出て行った。
(静流)「大胆な事をするもんだな。あれ、詩音?」
部屋の中には子供が数人いるだけだ。
(静流)「どこにいったんだろう?」
連絡を取ってみるが、
(静流)「おかしいな。出ないじゃない」
部屋の中ではカップルや親子連れが次々に入ってきて騒がしくなった。
しかし静流はそれどころではない。
(静流)「どこに行っちゃたんだ。まったくもう!」
でも怒っても仕方がない。
(静流)「トイレかな。ま、すぐに戻ってくるだろう。お茶でも飲みながら待ってるか」
椅子に座って少し休むことにした。
UFOキャッチャーを覗き込んでいたが子どもたちが
「あ、スーパーガールブルーだ」
静流は飲んでいたお茶を噴き出してしまった。
(静流)「いったい何が起こったんだ?」
大勢の子どもたちが騒いでいるが怪しい雰囲気はまったくない。
しかし静流は腕を組んで何か考えだした。
一旦部屋の外に出て行ったが・・・しかしすぐに戻ってくる。
お手洗いにでも行ったのだろうか?
先ほどからいた子どもたちはまだいた。
やがて見ていることに飽きたのか出て行ってしまった。
(静流)「何も起きなかったじゃないの・・・」
彼女は立ち上ると機械に近づいていった。
しかし室内が静流だけになると、待っていたように蓋が『ガパッ』と開いた。
(機械)「お前が3人目のスーパーガールだな」
(静流)「え、なに?機械がしゃべってるぅ」
反射的に変身と唱えてホワイトに変身した。
(W) 「まさかね、機械が犯人だったなんて。驚いたわ」
(機械)「おっと、抵抗は無駄だぜ」
機械は得意そうにぬいぐるみの人質のことを話している。
ホワイトは「ウッ」とうなって動けなくなった。
これでは手が出せないではないか。
(W) 「ずいぶん汚い手を使うじゃないのよ!」
(機械)「何とでも言え」
ホワイトが一歩二歩下がるまもなく、
(W) 「あ、キャーァ」
一瞬で機械に吸い込まれてしまった。
そしてバターンと扉が閉まった。
(W) 「しまった。出せ、出してよお!
あわてて冷凍噴霧を試みるが、あまり威力がない。
(W) 「なんで、どうしてよ!なんで効かないのよ!」
(機械)「俺様の腹の中ではベネチアンマスクの超能力は使えないの」
(W) 「あ、あ、あ・・・」
ホワイトはペタンコすわりになって、中のぬいぐるみを押しつぶしている。
(W)「ど、どうしよう!」
冷や汗が流れる、3人とも人形にされてしまえば助かる手段がなくなってしまうではないか。
(機械)「ほら、お前も早く、かわいいぬいぐるみになっちまいな」
(W) 「あ、ちょ、ちょっと待って!」
時間を稼ごうとしたが駄目だった。
(W) 「うわぁぁぁぁーーー」
あっさりとぬいぐるみにされてしまった。
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