妄想別館 弐号棟


解呪のやり方 その4


(機械)「ウワッハッハ。3人とも片付いたな。スーパーガールと言ったって大したことなかったな」
ぬいぐるみになったホワイトは気持ちよさそうに大の字に伸びている。
待っていたように、黒メガネにマスク、帽子を目深まぶかにかぶった女がはいってきた。
(機械)「あ、これは、ミスフライヤー」
(Fryer)「作業はどうだい。ぬいぐるみマシーン」
(機械)「このとおりです」
ぬいぐるみになったホワイトを突き出して見せる。
「ふん、なかなかかわいくなったじゃないか」
女は手足をピンピンと引っ張ったり、胸をバンバンたたいているが、
(Fr)「うん、良い出来に仕上がっているな。
スーパーガールホワイト。お前たちは、こんな風になっておとなしくしてればいいんだよ」
フライヤーはカバンの中からちバサミをとり出した。
(機械)「なかなかかわいいと思いますが・・・どうするんで?」
(Fr)「こいつらはやっぱり危険だ。確実にとどめを刺しておかないとね。さあバラしてしまうよ」
刃が首筋に触れ、まさに切り落とされんとした時に、
(W) 「あんたが本星か!」
いきなり背中を蹴っ飛ばされた。
「ウワッ!」
驚いて振り返るとホワイトが立っている。
久しぶりのスーパーガールの決めポーズで。
銀色のブラとボトム、白のガントレットとブーツ、もちろん輝くホワイトのベネチアンマスクをつけて、ニヤリと笑っている。
(Fr)「あ、ホワイト!それじゃこれは・・・」
女は手に持っているぬいぐるみを見て驚いている。機械も驚いて見ている。
今度はホワイトがその隙を逃さなかった。
いつの間にか持っている氷のサーベルをスッと振ると、一瞬で機械を切り裂いた。
「ギャーッ」と悲鳴が上がると同時に、機械は上部のガラス部分で切断されて、上半分は向こうに吹き飛んだ。
もちろん中にあったぬいぐるみは全部無事だ。
(W)「驚いたかな? あたしは自分のレプリカを作ることができるんよ。ベネチアンマスクを含めてね」
本物そっくりのニセモノを利用したのだ。
(W)「詩音のぬいぐるみはブルーに変身していたでしょ。きっとここで何かあったんだなって、思ってさ」
それにブルー程の者が、何の抵抗もせずにぬいぐるみにされたっていうのも、
(W)「なにかだまし討ちにでもあったんじゃないのかって思うじゃない」。
というわけで、ホワイトも用心してニセモノを用意したのだ。
フライヤーもまんまと引っかかって騙された。
(W)「機械を壊すと、ぬいぐるみは元に戻るんだってね?」
(Fr)「おのれぇ」
女は手に持っていたホワイトのぬいぐるみをぶつけてきた。
もちろん余裕でよけたが、
(W)「あ、しまった!」
女はもう消えていた。
(W)「逃げられたか!」
室内はモヤーッとなって、ブルーとレッドも伸びて転がっている。
(W)「ちょっと、あんたたち大丈夫?」
「あ、ホワイトあたしたちはいったい・・・」
この奇妙な機械によってぬいぐるみにされた者たちはみな元に戻った。

アミューズメントパークのぬいぐるみUFOキャッチャーはなくなってしまった。
「ぬいぐるみがほしかったな」
そんな声もあるが、事情を知っている彼女たちは「冗談じゃない」と思っている。
ともあれ機械は破壊したし、ぬいぐるみにされた人も元に戻ったし。
事態はこのまま収束するかに思えたのだが・・・

再びホテルのロビーでの密談。
顔を真っ赤にしてフライヤーが悔しがっている。
(Fr)「おのれ! あと少しだったのにぃ!」
(㎩)「やはりあなどれんな。やつらは」
パステルは「ウーム」と考えている。
(㎩)「いやしかし、まだあきらめんぞ。勝負はこれからだ。それにだな、ただ殺すんじゃもったいないだろ」
彼の目が残忍に光っている。
(㎩)「今ならやつらは油断しているはずだ。こういうのはどうだ」
彼がとり出したのは木の枠であった五角形の。
(Fr)「そんなのを使うのかい?」
枠の隅にはワイヤーがついていて、回すためのペグがついている。
(㎩)「以前から一度これを使ってみたいと思ってたんだ。これにだな、手足に結んでキリキリと巻いていくんだ」
(Fr)「そうすると・・・なるほど人形の手足が伸びていくんだな」
(㎩)「その通り。これで、スーパーガールを引き伸ばしてみたいんだよ」
こんなものをわざわざ作って試してみたかったそうだ。
しかし、今までその人体実験の被験者が、
(㎩)「全然見つからなくてねぇ」
そんな者がいるわけはないだろう!と、フライヤーは思った。
しかし彼の目は本気でギラついている。
(㎩)「とにかく強い女を引っ張って引っ張って・・・」
(Fr)「ああ、わかったよ。それでどうするって?作戦は?」
パステルは考えていた方法を話しだした。
(Fr)「それはいいアイデアね。なるほどうまくいきそうだ」
(㎩)「ぬいぐるみマシーンは壊れてしまったが、同じようなものをすぐに作るさ。そしてだな、それを学校のどこかの教室に仕掛けるのさ」
(Fr)「フンフン、なるほどね」
どこかの教室を丸ごとぬいぐるみマシーンにしてしまうのだ。
(㎩)「今度こそスーパーガールを・・・」
(Fr)「わかったよ。引き伸ばしてみたいんだろ」
(㎩)「そういうこと」
パステルは木枠をパシパシとたたいた。

一週間ぐらいたった朝。
羽純と詩音が教室に入ると、愛花と啓が騒いでいる。
(詩音)「どうしたのよ。騒がしい」
(愛花)「イバラ姫のUFOキャッチャーなくなっちゃったじゃない」
(詩音)「うん。それがどうかしたの?」
(愛花)「あの場所にさ・・・」
代わりのUFOキャッチャーが置かれていたそうだ。
今度はぬいぐるみではなくて、精巧なフィギュアだそうである。
(詩音)「フィギュア?」
人間そっくりに形どった人形、あれである。
ぬいぐるみはデフォルメがかけてあったが、今度のは人間を縮小したようにそっくりにできているとか。
そして・・・もちろんというか・・・
ぬいぐるみと同じく、オマ〇コやオ〇パイもついているそうだ。
「そんな、まさか・・・」
と、絶句した2人であったが、大急ぎで職員室に向かって走って行った。

話を聞いた静流も驚いて、
(静流)「それじゃ、あの機械はまだ生きてるっていうのか」
しかも物がリアルになっただけ、売れ行きもすごくなったようだ。
もちろんフィギュアの元の材料は・・・何でしょうか・・・?
(静流)「何も知らない女性のお客じゃないのよ」
これは大急ぎで犯人を倒さねばならない。
と、そこに美術科の如月先生が近づいてきた。
(雪音)「お話中のところすみません。あの初月先生にお客さんです。それからこれをって」
(静流)「え、はい、何でしょう? え、お客? 誰だろう?」
箱を開けてみると女性のフィギュアがはいっていた。
3人は顔色が変わった。
(静流)「ど、どうしたんですか、これ?」
帽子を被った女から頼まれたらしい。
雪音の話では・・・
廊下を歩いていたら理科室の前に女がいて声をかけられた。 
静流の知人だという。
雪音は「職員室までお越しくだされば」と言ったが、
(女)「事情がありまして、初月先生にこれをお渡ししていただければすべてお判りいただけると思います」
そう言って箱を手渡してきたそうだ。
「理科室で待っています」と言ったそうである。
(雪音)「彼女はかたくなだったんで、あきらめて、つい預かってしまったんですけど。あの理科室で待っているとのことですよ・・・」
(静流)「理科室ですね!」
3人は顔をあわせると職員室を飛び出した。
(詩音)「先生、今日の授業の1時間目理科だったよね」
(静流)「そうね。でもそれならなおさら、理科室を調べなきゃ」
今日は座学の後に実験をする予定になっている。




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