妄想別館 弐号棟


解呪のやり方 その6


生徒たちは何の疑問もなくやる気になったようだ。
(静流)「まず、マスクを外してください」
「このマスクってプラスチック製なの」
「ベネチアンマスクって簡単にはずせるのかな」
やってみると簡単に外れた。
「なんだ。すぐ取れるんだね」
静流いわく「だってこれはオモチャだもの」
マスクをはずすと、すぐに誰かが気がついた。
「これさあ・・・木之元に似てね?」
「そう言えばそうだね」
他の2つについても、
「こっちは初月(呼び捨て!)、あ、いけね、先生に似てるよ」
しかし教壇に立っている静流は聞こえないのか気にしてないのか、ニコリとしている。
「こっちは羽純そっくりだね」
似てるというよりも彼女たちの顔に瓜二つだ。
誰もが「これって3人を小さくしたんじゃないの?」と、思った。
しかし静流が「まさかぁ」と否定すれば・・・そう、そんなことは絶対にないのである。
(静流)「それじゃ検体を実習台に戻して。次は着ている物を脱がせましょう。脱がせづらければ切り取ってもいいわよ」
各人はハサミでビキニアーマーを切り始めた。
ガントレットもブーツも結構簡単に脱がせた。
3体のフィギュアは素っ裸になって台上に転がっている。
(静流)「さあ、よく観察して。どうなってますか。ちょっと先生にも見せてちょうだい」
静流は目をギラつかせている。
(㎩:俺もスーパーガールの裸には興味があったんだよな)
もちろん興味津々の男子どもは「あーすげえ」と、声を上げている。
オ〇パイの大きさは? 乳首の色は?
割れ目の腺までがバッチリとついている。
線が引いてあるのではなくて、ちゃんとそのようなつくりになっていた。
精巧なのでリアルだ。
(㎩:そりゃあそうさ)
やはりホワイトのが一番膨らんでいて長い。
いじくりまわし、つまみまわし、開きまわし。
あきれている女生徒もいたが、先生に催促されてやむなく・・・

(静流)「それではいよいよ本番ですよ」
彼女がとり出したのは例の木枠だった。
ガッシリ組まれた作り。頂点の角内には、革製の手枷足枷てかせあしかせのついた頑丈な鎖がついている。
鎖はペグを回すと巻き取れるようになっている。
「なんですか、これ?」
木枠を用意する意味が分からないと言っている。
静流が説明すると、
「なんか思っていた解剖と違うね」
「メスとか使うんじゃなかったっけ?」
誰もが変だなと思うが・・・
(静流)「いいえ、これで正しいのです。そうでしょ!」
「そうだよな。これは間違いなく正しい解剖だ」と納得した。

3個のフィギュアは、首、両手首、両足首にかせをつけられてしまった。
ガッシリ締め付けられて、もはや外れることはない。
「さあ、どんどんハンドルを回していってください。どうなりますか?」
どうなるっていったって・・・
どんどん引っ張られて伸ばされる。そして最後は・・・
よだれをたらさんばかりの顔になっている静流は、
(静流)「それじゃ赤のスーパーガールから始めて下さい。思いっきりやっちゃいなさい」
声つきまで変わっている。
生徒は言われたとおりにハンドルを回すと手足は開いて引っ張られていく。
ビキニアーマーの羽純は限界まで引き伸ばされた。
「一旦止めてみて。さあよく観察して」
羽純の人形は、木枠の中で首、手足をピンピンに張っている。
ピンセットで手足のつけ根を押してみるが・・・
「これ以上まわすと壊れますよ」
(静流)「いいのよ。それっ回して。いいから回すのよ」
生徒たちは指示に従って、さらにハンドルを回すが固くて回せない。
「先生、もうこれ以上回らないよ」
(静流)「何言ってるの!そら、早く回すんだよ。力いっぱい!」
静流にけしかけられて、思い切りグイと回せば・・・パシーンと・・・

「1人目の処刑、いや解剖終わり。それじゃ次はブルーの人形を!」
同じくハンドルをキリキリと音がしていたが、すぐにブルーもパンパンに伸び切った。
静流は「お友達にバラされるってどんな気持ちだい? え、詩音」
「詩音て何よ? 先生、何を言ってるの」
(静流)「いや、なんでもない。さあ、最後もう一回しだよ」
手足は抵抗するようにキシキシと音を立てていたが、
「バッシーン!」という音を立てて弾けるながら壊れてしまった。

バラバラの人形をかごに入れながら、
「それじゃ、最後はホワイトよ。ゆっくりとね」
ギシギシと音を立てて手も足も四方に伸び切っている。
パスカルはとうとう念願を成就したようだ。
(㎩:どうだ静流、とうとう俺はスーパーガールを八つ裂きにしてやったぞ)
パンパンに張っている静流を見ながら、
(静流)「それじゃ最後。1、2の3で、力いっぱい回して。いい!」
「はーい」
(静流)「それじゃ1、2の3、それっつ!」
パッキーン!という音とともに、静流の胴体はどこかにはじけ飛んだ。
鎖につながっている手、足、そして首は木枠のまわりをブランブランと・・・

さすがのスーパーガールでもこれではどうしようもなかった。
3人ともあえなくバラバラになって机の上に散らばっている。
(㎩:これで、こいつらは死んだな)
(静流)「はい、よくできました。それじゃ人形に感謝して、接着剤で一応元通りにしておきましょう」
何でそんな事をするのかわからないな。しかし先生の指示に従うしかない。
バラバラになっている、手足、そして首の断面に接着剤を塗って固定していく。
再び形だけは人形に戻った。体中にひびや継ぎ目が出来てしまったが。
(静流)「服も着せておくか。ぼろきれになったビキニはボディに直接接着剤を塗って貼りつけていいから。
なるべく元のようになればいいや」
ペタペタと作業をして・・・ベネチアンマスクを頭に貼り付けて終わり。
なんとなく元通りのスーパーガール(のフィギュア)にはなった・・・のかな?

(静流)「せっかくだから、教室の黒板の横に飾っておきましょうか」
生徒たちは先ほどから「?」だ。
パステルの考えでは・・・
スーパーガールの無惨な姿をさらしたいのである。。
そして・・・
おかしな授業ではあったが、生徒たち、ちゃんとつじつまの合う内容に修正されていた。
次の授業が始まる頃には、すべて物理実験の内容に記憶が置き換わっている。
解剖の記憶は完全に消えてしまった。

教室の黒板の横に・・・
誰が持って来て置いたか知らないスーパーガールのフィギュアが立てかけられていた。
いや『壊れたのを修理したフィギュア』だ。
「これはもう捨てるしかないんじゃないの?」というくらいに継ぎはぎだらけのボロボロだ。
ホワイトは真ん中で決めポーズ。腰に手を当てて仁王立ちだ。
左右にブルーとレッドが緩いファイティングポーズで構えて立っている。
他の先生がこれを見て、
「何だいこれは?」と怪訝がっていた。
そしてどの先生も同じように言う。
「こんなのみっともないから片付けた方がいいのでは!」




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