妄想別館 弐号棟


元気がでるアメ その3


夜になった。
彼女たちはアメの製造工場にやってきた。
移動販売車の出入りがやけに多い。
(静流)「どう、変わったところある?」
(羽純)「やっぱり見張りみたいなのがいて少し変だよ」
どうやら当たりらしい。
彼女たちはスーパーガールに変身すると、茂みに中に隠れて見張ることにした。
かなり時間が経って見張りも引っ込んだようだ。
(W)「中を探ってみようか。よし行くよ」
ホワイトの一声でスーッと工場の屋根に飛び上がると、忍び足で天窓のところまで駆け寄った。
中をのぞいてみると、
(R)「意外とあっさりしたものなんだね。ここでアメを作っているのかな」
かき氷を作るときの氷削機のような、手動式ハンドルのついている機械がいくつか並んでいる。
その隣にはすりこ木の入った大きな桶が置いてある。
アメをこねるのだろう。
桶はたくさんあって、赤、青、黄と色のついた水アメがたっぷりと入っている。
その他にある物は・・・
(B)「なんだあれは?」
部屋の奥に大きな段ボールが数個置いてあり、白い石膏像だろうか、トルソーやら、手足やらがたくさん入っている。
台の上にも置いてある。向こうの台にもだ。たくさんの人の形の石膏像が。
そして白衣を着て黙々と作業をこなしている女が1人いる。
作業をしているからには作業員とは思われるが・・・
彼女は抱えていた石膏像を一つ、ハンドルのついた製造器に入れている。 
(B)「石膏を壊してアメを作っているようだね」
(R)「そうみたいだけど、なんでそんなことするんだろ」
(B)「確かに変だよね」
あんなものがアメになるのだろうか?
女は台上に置いてあった手頃な足を、また一つ持ち上げると機械の中に放り込んだ。
機械はガラガラと音を立てて回り出す。
入れられた石像はグルグルと回ったミキサーの中で粉々になるようだ。
頃合いを見て蓋を開けて粉を搔き出している。
山盛りの粉を別の容器に移し、今度は黄色のトロッとした水あめのような物を流し込んでいる。
さらに容器ごと別の機械に入れて、スイッチを入れてしばらくすると、
甘くて良い匂いがしだして・・・見覚えのあるアメ玉が次々と転がりでてきた。
かなりの分量が出来あがると袋詰めにしていく。
(B)「ふーん。やっぱりアメだね」
何の変哲もない、アメを作っている作業工程の風景である。
女はこの作業をひたすら続けていたが、やがてカゴの中のアメの袋も山積みになった。
大量にアメが出来上がると、満足そうな顔をして出て行った。
(W)「中に入ってみるよ」
ブルーとレッドはうなずいた。
天窓を開けてスーッと音もなく作業室に着地する。
機械を触ってみるが、それほど精密な機器ではなさそうだ。
(B)「どこにでもありそうなアメの製造器でしょ」
レッドは材料を指でサラサラといじったりしながら臭いを嗅いでいたが声を上げる。
(R)「あーっ、これ、この粉!」
(W)「どうしたのよ。粉がどうしたっていうのよ?」
(R)「これ小麦粉とかの粉じゃないよ・・・生き物由来、え、人間じゃないの?」
(B)「は、人間・・・? 何言ってのよ」

(Ca)「待ってたよスーパーガール」
柱に寄りかかるようにして女が眠そうに立っている。
隣には目つきの鋭い男が。さらに手下と思われる男たちも数人。
男は腕を組んでニヤニヤとしていたが、
(Dd)「やっぱり後をつけてきたんだな。やれやれ面倒な連中だよ」
(B)「何を企んでいるのよ」
(Ca)「その赤い女の言った事、当たりだよ」
(B)「あれ、レッド、あんた何て言ったっけ?」
(R)「えっと、粉は人間・・・ え、まさか本当に? 人間がアメの材料・・・なの・・・!?」
キャンディスはぬけぬけと自分たちの悪事についてしゃべっている。
女たちを捕まえて、アメにして、売ってぼろ儲け!
「うそでしょ! 何という事をするんだ!」
3人は怒り心頭で真っ赤になっている!
(Ca)「もちろんあんたたちもすぐに片付けてアメになってもらうがね。でもさ」
ホホ、と声を上げて笑うと女は逃げだした。
(R)「あ、待て!」
(Dd)「おっと待ちな。お前らの相手は俺たちだ。おい、やってしまえ」
まず手下が襲い掛かってきた。
「喰らえぇ」
男が木刀を力まかせに打ち下ろしてきた。
ブルーはかわすでもなくスーッと水に姿を変えた。
『バシャーン』とすさまじい水が飛び散ったが、すぐに再生して男を殴りつけた。
男は「あれっ?」と声を出したが、何が起こったかわからないうちに伸びている。
レッドも素手で殴り飛ばし、脚で蹴り飛ばしている。
(R)「あたしも術を使いたいな。でもあたしのは人間には向かないのよね」
燃えてしまうから!
(W)「仕方ないでしょ。手加減しなさい」
レッドは憂さを晴らすようにハイキックで蹴り上げる。
「うわ」と、あごを蹴り上げられた男が動かなくなった。
もちろんホワイトも、襲ってくる敵を簡単に倒してしまった。

まあ、人間相手ならこんなものでしょ。超能力を使うまでもない。
さて・・・
(W)「さあどうするの、手下は全員伸びてるよ」
(Dd) 「チッ、使えん奴らだ。それじゃ俺が相手になってやる」
3人は遠巻きになって隙をうかがう。
ブルーが踏み込んでパンチを打った。
(Dd) 「おっとォ」
ディーディーはスーッと引いて腕でガシッと受け止めた。
そのとたん、
(B)「あれ?変だぞ。力が・・・あ!」
ブルーの腕が肘先からもげて・・・落ちてしまった。
(B)「あー、どうやって切断したんだ」
男はすかさず飛びついてきて、なんと彼女に抱き着いた。
その瞬間不思議な事が起った。
(B)「ああっ、何するのよぉ! あれ?」
彼女の体は、首、手、腕、そして、胸、腹、腰、そして、太もも、ひざ、足首と、バラバラになって吹っ飛んだ。
(B)「えっ!どういうこと?」
ホワイトとレッドは、目の前の光景が信じられない。
ブルーの体はバラバラになって床に散らばってしまった。
(B)「うゎ、あたしの体はどうなったの?」
ブルー自身も何が起きたかわからない。
不思議なことに彼女は「体が散らばっているぅ!?」としゃべっている。
どうやらブルーは生きているようだ。
(Dd) 「どうだ、お前の体をバラしてやったぞ」
各部分の切り口は平面で薄ピンクの色。まるでオモチャの切り口のようになっている。
特段血が出るわけでもない。
散らばっている各パーツには感覚もあるようだが、特段痛くはなさそうだ。
しかし「あれ、うまく動かない?」
うまく動かせないのだ。
足は足だけで立ち上がれない。腰がないので支えられなくてすぐにこける。
手を貸そうにも手は向こうの方に転がっている。
ブルーは「あーもうじれったいな!」
しかしどうしようもない。首はこの様子を見ているしかない。
驚いているレッドとホワイトに向かって、ディーディーは、
(Dd)「こいつの体は異次元の空間を使って分断してやったのだ」
と言っている。
異次元を介してつながっているらしい。
(Dd) 「お前らもこうだ」
あっという間もなく、2人もバラバラのブロックのようになって転がった。
「うわ、しまった」「やられたぁ」
ホワイトの首が転がって横向きになっている。すぐ横のブルーの首と目が合った。
(W)「ちょっとあんた生きてるの!」
(B)「そういうあんたも首だけだよ」
(W)「いや感覚もあるんだけどさ。いったいどうなってるんだろうね?」
(Dd) 「どうだな。俺様の妖術は」
彼女たちは死んだわけではないが、完全に自由がなくなった。
各パートがガサゴソともがいているが、
「動けないよぉ」
ディーディーはレッドの腹を蹴り飛ばした、
「ギャッツ」と叫んで顔をしかめる。
「それでは手も足も出まい。すぐにアメに加工してやるからな。覚悟しろ」




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