妄想別館 弐号棟


元気がでるアメ その4


彼は『勝った!』と思った、のだが・・・
残念なことに、この状況はあっさりと崩れてしまった。
超能力や妖魔力でも、お互いの相性の良し悪しはあるものである
たしかに一般の人間においてバラバラにされればどうしようもないのだろうが、この3人の能力は・・・
ブルーは驚いていたが「やったなぁ!」と叫ぶと、転がっていた体を水に変えた。
大きな水の塊が一斉にディーディーに向かって飛んでいく。
1つがモロに顔に命中して、彼は『ガッコン』と音がするほどに吹っ飛ばされた。
(Dd)「え、グヮァーッ!」
強烈な一発を顔面に喰らってしまい、かろうじて立ち上がったが、フラフラで戦意は喪失!
一方、ブルーの方は体を再生すると、隙を与えずに次のパンチを繰り出し殴りつけている。
顔をしかめていたレッドも、
(R)「ただで済むと思うなよ!」
あちこちに火の玉が出てきて、たちまち1つにまとまって復元している。
(Dd)「こ、こんなバカな!あ!」
赤青コンビは猛然と反撃していって、ディーディーは殴り飛ばされてひっくり返った。
ホワイトも、ヤレヤレと決めポーズで立って笑っている。
(W)「どうやら、あんたの技はあたし達には効果が無いようね。全然!」
彼は顔を押さえながら、
(Dd)「おのれ、覚えていろ」
彼は両手を突き出すようにして壁に突っこんだ。
あっという間に体は壁の向こうにすり抜けてしまった。
(R)「あ、しまった。待てぇ!」
ブルーとレッドが壁を叩いて叫んでいるが、
(W)「早く、外に出て追うのよ」
外に出て当たりを探すと・・・いた!
魔女とディーディーが向こうの方を逃げていく。
3人は猛然と追いかけていく。
(R)「ホワイト、今の壁抜けは?」
(W)「あの男は異次元を自在に操れるようだよ」
何かの物があれば、その中を逃げ放題なのだろう。
結構やっかいだなと思った。おまけに逃げ足も速い。
(B)「レッドぉ!」
(R)「あいわかった!」
火の玉になってスーッと飛ぶようになると、あっという間に女に追いつき、彼女の手を捕まえていた。
(R)「さあ捕まえた。おとなしく、あれ?」
煙のようになって消えてしまった。
(R)「どこに行ったぁ!?」
ホワイトとブルーが追いついてきたが、
(R)「消えちゃったぁ」
付近を暫く探したが、犯人たちの痕跡は完全に消えてしまった。
(W)「しかたがない、あの工場の証拠品だけでも持って帰ろう」
しかし先ほどの工場に戻ってみると、
(B)「あ、工場がなくなっている」
跡形もない更地になっていた。
異次元の術はこんな使い方もあったのだ。
作業場を丸ごと異空間に運んで行ってしまったのだろう。
悔しがっているレッドとブルーであるが、どこに行ったやらもうわからない。
(W)「奇妙な術を使うもんだな」
ホワイトはぼそりと言った。

(Ca)「あやうくやられるところだったよ」
彼女たちをおびき出してアメにしようとしたが、逆襲されて封印されるところだった。
(Ca)「お前の自信満々の妖術も全然役に立たなかったじゃないか」
ディーディーは予想外だったと言っている。
(Dd)「しょうがないだろ。でもな・・・」
(Ca)「なんだよ」
(Dd)「あいつらが生身のままだったらどうだろな。つまり変身してない状態だったら」
(Ca)「それは・・・妖術はかかるだろうさ。普通の人間には再生能力なんてないからな」
(Dd)「な、それならば簡単に仕留められるだろう」
もう一回、罠を仕掛けて、スーパーガールに変身する前にやっつける。
(Ca)「ふーん、なるほどやってみるかい。やつらはお前の術は効かないと油断してるだろうしな」

恐れていたように、行方不明者の数は相変わらず増えていく。
(羽純)「静流、早くなんとかしないと女がいなくなっちゃう」
(静流)「わかっているけど、どこにあの車が出てくるかわからないからなぁ」
(詩音)「そんなのんきな事を言ってる場合じゃないよ」
(静流)「そうだね。こちらから探しに行くか」
と思っていた矢先、なんと、
「販売車が現われたよ!」
3人を挑発するかの如く、いつもの場所に移動販売車が堂々と停まっているという。
どういうつもりかわからないが、アジトを探しだして捕まえるにはチャンスだ!
すぐに出かけてみると、やっぱり車が停まっている。
車には『本日は売切れです』と紙が貼ってあった。
中を覗き込んでみるが誰もいない。
(静流)「変だね。誰もいないなんて?」
この車の後をつけて行けば工場にたどり着くだろう。
ところが、
「あっ!」
車が勝手に動きだした。
(詩音)「え? 誰もいないのになんで?」
(静流)「それより、早く車を停めないと!」
車はどんどんスピードを上げて走っていく。
3人があわてて車に近づいた途端に、
(羽純)「ん? あーーー!」
まわりの地面がなくなっていた。
(詩音)「しまった、罠だ。キャアーーー!!」
あっさりと罠に落ちてしまった3人は暗闇の底に落ちて行った。

静流静流、と誰かが呼んでいる
(羽純)「よかった。気がついた」
(静流)「ここはどこ。あたしたちは・・・」
詩音も目を覚ましたようだ。
状況はすぐにわかった。
見覚えがある。先日犯人たちを取り逃がしたアメの製造工場だった。
しかも・・・
「あーっ!」
彼女たちの体はバラバラのパーツとなって床に並べられていた。
首や手足、いくつかに分かれた胴体。この前やられた時と同じ状態。
「しまった、やられた!」
しかも今度はスーパーガールに変身していないので超能力が使えない。
もちろん指輪、ブレスレット、ペンダント、も取られてしまっているようだ。
「変身できないよぉ」
3人は必死で動こうとするが、思うようにいかない。
体の各パートは動かせるのだが、手は手、足は足だ。
手だけでは移動できない。足だけでは立てない。
こんなこと言うのは何だが、転がっている胸や腹はこの場合何の役にも立たない。
そして見ている頭は、じれるだけである。
「こんなになるとは思わなかったわ!」
立ち上がるのも至難だ。まして逃げたり戦うなんてことはまったくできそうにない。
「お、気が付いたな」と言いながら、キャンディスとディーディーが現われた。
(羽純)「でたな悪人!」
(Ca)「なんだよ、お前たち。ここの工場を探していたんじゃないのかい。わざわざ案内してやったのにさ」
(詩音)「うるさいよ!」
キャンディスはケラケラ笑いながら、
(Ca)「負け惜しみの強いこと。まあこんなに簡単に罠に落ちてくれるとは思わなかったがね」と。
3つの首は睨みつけるしかない。
(Dd)「スーパーガールだと俺の術はまったく効かないが、人間の体だとどうすることもできまい」

「バラバラの状態」を詳しく説明すると・・・
手は肩のつけ根から切られていて、さらに肘の前後で3つになっている。
脚も同じだ。股のつけ根から切られて膝の前後でやっぱり3つに。
ただし首は胴体につながっている。
マネキンで首と手足のついてないものをトルソーというが、今の彼女たちは首のついたトルソー状態だ。
転がっているトルソーが怒鳴って騒ぎ立てる。
(羽純)「元に戻せぇ!」
(Dd)「ギャーギャーうるさいんだよ。それ、服を脱がせてしまえ」
(羽純)「あ、何するんだよ!」
手足がないので、簡単に持ち上げられて・・・
首をいっぱいに伸ばして噛みつこうとするが、後ろ向きにされるてしまうと・・・
あっけなく服を脱がされてしまった。
静流も詩音も何の抵抗もできずに裸にされてしまった。
詩音の胴体(頭つき)を持ち上げていた男が、
(手下)「これでも生きているんだものな。新鮮なハムみたいだよね」
不思議だなぁと感心している。
(羽純)「なにをバカ言ってんのよ! 放せ、放せったら!」
(手下)「威勢のいいこと。そう怒るなよ。どれどれ感じるのか?」
落ちている手首を拾ってコチョコチョやってみると、
詩音が騒ぎ出した。触られた感覚があるのだろう。
(詩音)「やめろ痴漢。人の体に勝手に触らないでよ! いやらしい!」
(手下)「お前の手首だったのか。それじゃこっちの太ももは?」
手下が太ももを拾って撫でると、今度は静流が、
(静流)「やめてよ、あたしの足だよ!」
確かに切り口が異次元空間でつながってる不思議な術である。




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