『イ、イタチに知らせたんですか?』
「ええ。綱手様がそうしろと。…何かマズかった?」
『はぁぁ…』
「血相変えて帰ってくるぞ、兄さん」
木ノ葉病院の一室に、リクハの盛大な溜息が響いた。何もこんな軽傷で報告しなくても…と。どんな言い回しをしたかにもよるのだが、病室にやってきて当の本人がケロッとしていたらわざわざ疲れた体にムチ打って足を運んでくれたイタチに悪いじゃないかと、リクハは五代目火影である綱手の気の利かせにもう一度ため息をついた。
「軽傷って、リクハちゃん。あなたね、左足首骨折してるのよ?」
『でも私、これくらいなら自己治癒で…』
「何でもかんでも力に頼らず自然治癒にしなさい!しばらくは絶・対・安・静。任務もデスクワーク中心で組むからね」
『え!デスクワークなんてノーサンキューだってばよ』
「え!じゃないの全く。ナルトの真似しない」
リクハの反発もなんのその。シズネはカルテを書き終わると、ふて腐れてるリクハに視線を移す。かわいい顔してナルトみたいなんだから、と内心呟くと前に彼が病室を抜け出し一楽のラーメンを食べていたことを思い出す。あの時はナルトだからすぐに強制連行したけれど、逃げるリクハを捕まえることは容易なことではない。それこそ風を捕まえようとするのと同じだ。彼と同じ習性を持っているような気がしたシズネは、念のため一言言い放った。
「もしも病室から抜け出すようなことがあれば」
『あれば?』
「しばらくの任務はデスクワーク+監視役にガイさんを付けるからね」
『ガイさんっ!?』
「暑苦しいな…」
まるで体に電気が流れたかのように体を強ばらせ、ショックを受けるリクハ。今日は任務が無いからと、見舞いに来てくれていたサスケでさえ顔を青くしている。
「そこまで厳しくする必要あんのか?」
「大人しくしてれば、それでいいから」
『あ、せめて自宅療養は許して?ナルトが一人になっちゃうから』
「……」
眉間にシワを寄せて許可が下りるかどうか不安そうなリクハがシズネを見つめている。
そう言えばそうだった。リクハは今、ナルトと共に生活を送っているんだったとシズネは困ったような表情を浮かべため息をついた。彼女の回復力を考えれば自宅治療ができないわけではない。が、心配なのはあのナルトと共に生活を送っているというところなのだ。
この間なんて夜中の12時過ぎに二人して新技開発していたとか。リクハは彼のことを本当の息子のようにかわいいと溺愛しているため、ついついあの無鉄砲さに流されてしまっているようだ。
努力家で負けず嫌い。いつまで経っても好奇心旺盛なところはナルトと本当によく似ている。ナルトもナルトでリクハのことが大好きだから、入院だなんて聞いたら飛んできてまた大騒ぎするに違いないと、シズネは深いため息をついた。
「ダメだって言っても、聞かないんでしょうね」
『あはは…すいません』
「許可したくないけど、仕方ないわ。でもせめて今日はここに居てもらうわよ」
『うんっ。ありがとうシズネさん!大好きよ』
「…んもう」
その笑顔がズルいのよね
(だからついつい甘やかしちゃうの)
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