任務終わり、イタチは重い足取りで帰路に着いていた。
暗部の過酷な任務に忙殺される毎日。
蓄積された疲労が、まるで鉛のようにのしかかる。
一族と里の共存。そしてその先にある"平和"を願いながら、耐え難い重圧を一身に背負うイタチ。
顔色一つ変えることなく、己を殺し続ける日々。
そんな彼の苦悩を理解しようとする者は少なく、最近では同胞たちからの風当たりも強くなった。
しかし、そんな状況下であってもイタチが自分自身を見失わずに済んでいるのは、共に成長してきた幼馴染の存在があるからだ。
「…………」
ふと夜空を見上げ思い浮かべたのは、想いを寄せる幼馴染の笑顔。彼女はもうすぐ上忍になり、自分は暗部の隊長になった。忙しさはいなめない。少し前までは毎日のように顔を合わせていたというのに、今はそれすら叶わなくなった。
共に修行し、互いの好物を食べながら語らい合う。
そんな些細な時間を一緒に過ごす、たったそれだけのことが、できなくなった。明るく前向きで、ひたむきに努力を積み重ねることができる幼馴染のことだ、きっと元気にやっている。自分とは違う。
こんなにも疲弊した姿を晒して余計な心配をかけてしまっては迷惑か…。そんなことを考えながらも歩みを止める。
「………………」
そして帰り道とは逆方向に体を向けて、仙波一族の敷地へと続く門をくぐり抜けた。
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