僕らの知る仙波ミツハという男は…。
自身の体でありとあらゆる危険な実験を試し続ける、狂気的なほど医療の知識欲に取り憑かれた、理解し難い超がつくほどの変わり者。優秀な医療忍者や医師が匙を投げてしまうような難解な症例が三度の飯より大好物で、承認されてないような医術や治療を独断で施す、正直里の掟を何度破ったかも分からない危なっかしい人だった。
けど僕らはそんな先生のことが大好きで、尊敬してた。
だから、あの時……。
「ハスナ、アキト、ムスビ…よくお聞き…」
両腕を切り落とされ虫の息となった仙波一族の青年の首に、血のついた大刀があてがわれる。
「…そんなっ…ミツハ先生!」
「師匠を放せ!その人は悪くないっ」
「…ちくしょうっ…」
その姿に成す術がなく、泣きながら心情を訴えることしかできない幼いハスナとムスビ。処刑を止めようと争うも、力及ばす暗部により取り押さえられたアキトの紅に染まった瞳が青年の最期を焼きつける。
「…三人とも…最期に一つ…約束だ…」
想像するのもおこがましくなるほどの絶望を味わった男が、同じ里の同胞に殺される。大切な両腕を切り落とされ、積み重ねてきた名誉が汚名へと塗り替えられても尚、里の未来をつくっていく子供達に最期の思いを残していく。
"お前たちは木ノ葉の忍びとして、胸を張って生きろ。"
そう言って笑顔を浮かべた青年の首が鮮血とともに地に落ちて、ムスビの瞳が紅に染まった。
その男について
〜仙波ミツハ〜
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