今日も木ノ葉の里の空は晴天。
春から夏に切り変わろうとするにはあのジメジメとした梅雨を乗り切らなければならない今日この頃なのだが、久しぶりの休暇はなんとも過ごしやすい一日になった。
そう思いながら部屋の窓から外を眺めていたイタチ。
もうすぐやってくるであろう大切な幼馴染を待つ時間に、居心地の良さを感じる。今日は行きつけの甘味処に行こうと言っていた幼馴染のあの嬉しそうな顔を思い浮かべると、胸の奥があたたかくなる。彼女の中では甘味にありつくことがもちろん最優先事項なのだろうが、真っ先に他の誰でもない自分を誘ってくれたことが嬉しくてたまらなかった。
「イタチ」
「…?」
「リクハちゃんが来たわよ」
「ああ、すぐに行くよ」
「…フフッ」
「??」
幼馴染の来訪を伝えに来てくれたミコトの横を通り過ぎようとした瞬間に、意味深な笑顔を向けられ足を止めるイタチ。その意味を問うために品よく笑った母親と向き合った。
「相変わらず仲良さそうで安心したわ」
「…ああ」
「母さん嬉しいのよ?」
「嬉しい?」
「だって、考えてみなさいイタチ」
「……?」
「リクハちゃんみたいな子なら、母さん期待するわよ」
「期待とは…?」
「んもうっ。とぼけちゃってイタチったら」
「……」
自慢の息子であるイタチの肩をちょっと強めに叩き、口元に手を添えて笑みを深めるミコト。
「母さんと父さんはリクハちゃんならいいわよ?」
「……」
「サスケも随分と懐いているし」
「……」
「明るいし、可愛いし、素直だし。小さい時から見てきてるから、母さんと嫁姑になっても仲良くやれそうだもの」
「……」
「あ、そうそう!最近お隣さんに初孫が産まれたって言ってたんだけどね、イタチとリクハちゃんの子なら絶対にかわいい子が産まれてくると思うわ母さん。フフッ。楽しみねっ」
「…ちょっ…」
口を挟もうにも一人楽しそうにしゃべっているミコトを前にすると、そのタイミングを逃してしまう。
一瞬フリーズしたイタチだが、すぐに我に返り言いたいことだけ言って立ち去ろうとしている母の後を追い肩に手を置き待ったをかける。
「母さん。その話はリクハにするな」
「解っているわ、イタチ」
本当に理解しているのだろうかと疑問が生まれる。
「あなたのタイミングってものがあるものね」
「…は?」
「デート、楽しんでらっしゃい」
「おい…」
自分の母親はこんなにも話しを聞かない人間だっただろうかと、イタチがため息を吐く。そんな息子の心中を察することなく、当の本人は鼻歌まじりにスキップで台所に消えていった。
「ああ!リクハねえさんだぁー!」
『サスケ〜ッ。久しぶり』
「あ、兄さんに会いに来たんでしょ?呼んでくる?」
『さっきミコトさんが呼びにいってくれたよ』
その直後、玄関からサスケとリクハのやり取りが聞こえてくる。二人の仲睦まじい姿を思い浮かべると、自然と胸の奥が温かくなるような感じがした。
が、次の瞬間…。
「聞いたよねえさん、兄さんとケッコンするんでしょ?」
『…え…?』
「!?!?」
「リクハねえさんならうちにすんでもいいよ!」
「私もいいわよ、リクハちゃん」
「(母さんまでっ…)」
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