「まじでなんだ今のはっ…夢か!?」
「お、落ち着いてサスケ君…今のは…」
「超ラブラブじゃんあの二人ってば!」
「うるさいナルトッ」
「だって、あ〜んって!あ〜んってしたよな!?」

甘味処を出た二人とパックンは、商店街を歩く。こうしてみると恋人のように、見えないわけではない。軽くパニックに陥っているサスケを宥めながら、後を付いて行くと何やらカカシが立ち止まりリクハに話しかけている。

「そう言えば、お前に婚約祝い渡してなかったな」
『貰いましたよ?』
「え、なんか渡したっけオレ」
「歳だなカカシ」
「やめてよ。リクハの前で年齢の話しないでって」
『ハハハハッ』
「うわー、傷つくなー」

特に表情を変えずにほぼ棒読み口調でそう言ったカカシ。そんなことよりも大事な愛弟子の婚約祝いに、自分のあげたらしい物がどうしても思い出せず頭を悩ませる。まだまだそんなに記憶力が落ちたわけではないと言うのに。
カカシは「う〜ん」とか「なんだっけな〜」とブツブツ言いながら、目の前に並べられている綺麗な髪飾りを一つ手に取りリクハの耳元に当て眺める。大きな空色の瞳が上目遣いでこっちを見つめ『なんですか?』と首を傾げたものだから、カカシはくらりとめまいを起こしそうになった。

「何を着飾っても似合うね、お前は」
『ガイさんのタイツでも?』
「オレは受け入れられるよ」
『止めてください。冗談ですよ』
「…想像しちゃった」
『うわっ、言わなきゃよかった!』

髪飾りを戻しながら優しい笑みを浮かべるカカシに、恥ずかしくなるリクハ。自分の背中をポンポンと叩きながら『忘れてください!』と言ってくる愛弟子に、「インパクトが強すぎてどうかなー」とからかってみる。そんなやり取りに幸せを感じていたその時だった…。
妙な熱苦しい気配を感じたのは。

「おお!!!カカシにリクハじゃないかっ!!」
「うわ……」
『あ、ガイさんっ。修業中ですか?』
「うむっ!重りを100キロ両腕に付け、里内を逆立ちで1000周する修業中だ!」
「またすごいルールでやってるね…」

振り向けばそこにガイはいた。どうしてこうもタイミング悪く遭遇するのかが謎すぎて、もうおかしな力が働いているんじゃないのかとさえ思う。
カカシはリクハとの時間を邪魔されたくなくて、ここから今すぐにでも立ち去りたいオーラ全開で話を切り上げようとする。

「そっちはなんだ、師弟揃って何かのトレーニングか?」
「うんそう。師弟の絆を深めるトレーニング中、じゃあガイ…」
「なんと!!!師弟の絆とは実に青春な響きだぞカカシッ!いいじゃないか!」
「うん、だからオレ達はこれで…」
「リクハも立派になったしな!初めて会った時なんか…」

「ほら、怖がってんだろ」
「オレは何もしてないぞ!?」
「どっか行け!任務の邪魔だ」
「いや!これは青春をかけた、どっちが子供に好かれるかと言うライバル勝負になる!」
「ならないから。なる要素ないから」
「いや!それはハンデだ!オレが先にその子と会っていたら、現状は違った」
「違わないよ。頼むからこの子巻き込むのだけは止めろ。頼むから」
「青春のライバル対決を放棄することは許さないぞ!!」


「このオレを前に恐れをなしていたもんな!」
「いや、その見た目に恐れをなしてただけだから」

ずっと逆立ちのままよく普通の会話が出来るもんだと感心しながら、リクハは変わらない熱さに苦笑いを浮かべた。ガイと初めて会ったのも、カカシと初めて会った日のこと。最初の印象がやはり強すぎて、数日頭から離れなかった事を覚えている。
それからカカシと過ごす時間が多くなると、ガイがしょっちゅう「ライバル対決だ!」と現れる場面に居合わせてしまい、カカシの同期の中でも一番仲良くなってしまったくらいだ。

「そうか、お前たちもトレーニング中だと言うのなら…今日のライバル対決は預けておくことにしよう」
「うん。是非そうして」
『ガイさん、これからもカカシさんのことお願いしますね』
「いや本気で止めてリクハ。頼む相手間違ってるから」
『え?』
「わざとらしい顔だなっ…」

それから結局30分。ガイの青春トークに付き合わされ、癒されてきたカカシの心がドッと疲れを蓄積してしまう。リクハは『楽しい人じゃないですか』と励ましながら、カカシの背中をさすった。

『カカシさんのおかげで、いろんな人と繋がりが持てて嬉しいです』
「ガイとも?」
『もちろん。紅さんやアスマさんとも』
「オレの同期は変なの多いからな…」
『そうですか?あ、でも私』
「ん?」

少し疲れた顔で返事を返せば、リクハの笑顔が視界に映り癒される。

『カカシさんの同期の皆さんの中で、私の師匠がカカシさんで良かったって今でも思ってますよ』
「………」
『昔も今もこれからも、私の師匠はカカシさんだけですっ』
「抱きしめていい?」


昔も今もこれからも、
守りたいのは君の笑顔

(あなたの背中は、私の目標)


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