自分を拾い育ててくれた恩師の為に呪術師になった。
持って生まれた類い稀な才能があるにも関わらず、ただそれだけの理由でこの世界に飛び込んできた純とは、育った環境も、考え方も、価値観もまるで正反対。出会った当初は口を開けば言い合いばかりで、それが次第に顔を見合わせれば喧嘩ばかりするようになってた。気が合うところといえば気に入らない俗物への反骨精神と体の相性が抜群にいいってことくらい。
そんな僕らの関係は、お互いの需要と供給のバランスが釣り合っているからこそ成り立ってる。卒業後は母国に帰って呪術師以外の道を歩むはずだった純を引き留められたのも、そのバランスが取れていたからこそだ。

『恵と津美紀のこと、禅院家にかけ合ってみてくださいよ』
「いいけど一つ条件がある」
『どんな?』
「お前が今後、日本に残って呪術師続けること」
『…え…』
「それと俺の仕事のサポートすること。そんで手打ってやる」
『条件は一つでしょ!?ちなみに両方とも無理です』
「じゃあ諦めるんだな」
『…(イラッ)』
「こうゆう場合の人助けは無償じゃないよ、純」


ってなカンジに。
僕のわがままで、五条家とか呪術師とか、古い掟や価値観の中で生きていくことを純には強いる結果になった。それでも彼女に対して可哀想なことをしたな、なんて思ったことは一度もなくて、むしろ僕に見合う女がお前だったんだから仕方がない。腹をくくれと思うだけだ。この腐った呪術界に変革をー、なんてそれらしく掲げた夢と道連れに、この先純の手を離すことは絶対にない。





「逃げちゃダメ」
『…っ』

本人の意思とは関係なく与えられ続ける快楽の波から逃れようと、這うようにしてベッドから出ようとする純の両足を掴んで力強く引き寄せる。美しく均整のとれた体がシーツの上を滑り、いとも簡単に捕まり行為は続く。会えなかった期間を埋めるように付けられた所有印が、また一つ、さらにまた一つと増えていく。

「指じゃなくて僕のでちゃんとイって」
『…先輩ちょっと、待っ…て…』
「もう二ヶ月も待った。…というか待たされた」

火照った体を上下させ、言葉が詰まるほどの荒い呼吸を繰り返す純を見下ろすアクアブルーの美しい瞳。やめてくれと伸ばされた両手を容易く振り払い、愛液に濡れた秘部に容赦なく自身のモノを沈めると、指や口での愛撫とは比べ物にならないほどの快楽が絶頂を迎えたばかりの純の体を突き、愛らしい喘ぎと共に虚ろだった表情が大きく歪んだ。

『〜〜〜っ!』
「…まだ全部入ってないよ」
『んんっ…やっ…ぁ…』

きつく締まった肉壁を無理矢理押し広げながら最奥までゆっくりと自身を沈めると、五条の口からも甘美な吐息が漏れる。下腹部に向けていた視線を純に移すと、余裕のない、今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた。囁くように名前を呼んで潤んだカッパーレッドの瞳と視線を重ねると、五条の中のあらゆる欲求が煽られぞくりと快感がこみ上げてきた。

「純、そんな顔されたらいじめたくなる」

いたずらな笑みを浮かべながら覆い被さるように上半身を倒し、桜色に染まった頬と唇にどこかあざとさのあるキスを落とした五条。もうこれ以上いじわるしないでと首を左右に動かした純を前に、たまらず口元を緩ませた。

「それワザとやってる?」
『…ちがいますっ…』
「プッ。イカされまくって不貞腐れてんの?」
『だって、全然優しくないっ…』

軽く頬を膨らませ、前戯の最中に一度も自分の意見を受け入れてもらえなかったことへの不満をぶつける純。だからそうゆう表情は逆効果なんだよなあ、と内心呟き愛でるように柔らかな髪を撫でた。

「これでもセーブしてあげてるんだけど?」
『………?』
「正直もっとめちゃくちゃにしたい」
『……え?』
「勝手なことされたわけだし」
『…………』
「でもいじめすぎるとお前すぐ泣いちゃうからさ」
『そ、それは学生の頃の話で…今は泣きませんっ』

説得力の欠けた、潤んだ瞳で五条を睨む。

「へえ。じゃあ試していい?」
『…え"っ!?』
「僕を怒らせるとどうなるか…分かってないみたいだし」

髪を撫でていた手を頬から首筋にゆっくりと滑らせると、怯えの色が純の瞳に見えた。自分の言葉を間に受けているその素直さが可笑しくて、鼻先で笑い冗談だと頬にキスをする。

『またそうやってっ…』
「プッ。やっぱお前のこといじめるの好きだな〜」
『…性格悪いですよ…』
「それが?僕の物になにしようが勝手でしょ」
『…んぅっ…』

高ぶる感情を押し付けるように、中で脈打つ自身で最奥を突く。一度スライドさせただけなのに中毒性のある快楽が体を巡り、湧き上がった欲に抗えずそのまま腰をゆっくりと動かす。

「純…」
『…あっ……んっ…』
「好きだよ、大好き…」

肉壁全体を刺激しながら、純の一番感じる場所を責めていく。愛らしい喘ぎが漏れる唇を塞ぎ、甘く優しいキスをする。
何度も何度も角度を変え、ゆっくりと口内を犯す。
淫らな水音と喘ぎが部屋の中に響き、聴覚をも刺激してくる。
五条は快楽に表情を歪めている純の頬を少し乱暴に掴み、無理矢理視線を重ねると少し冷めた視線を向け言い聞かせるような低い声で囁いた。

「今回は大目に見るけど…次はないと思ってね」

恐怖。
快楽とは別の、圧倒的な力の差に背筋がぞくりと震える。

「あと、今後僕より先に七海を頼ったら…まじで覚悟しろよ?」
『…………』
「"はい"…は?」
『……はい…』

反論なんてする余地もなく、ただ五条の言葉に首を縦に動かすしか選択肢はない。甘く愛されていたかと思えば理不尽な状況に落とされて、感情の消化不良を起こしたまま"ごめんなさい。"と謝ると、五条の表情がころっと一変した。

「純大好き。愛してる」
『(サイコパス……ッ)』

上半身を起こして細く締まりのある両足を左右に大きく開げると、すでに愛撫されぷっくりと膨らんだクリトリスを再び撫でる。力を加えず優しく左右に指を動かせば、純の腰がすぐに妖艶な弧を描いた。

『先輩っ、だめ…っ…出ちゃうっ…』
「…もう出ちゃってる」
『…あっ、もっ…むりっ…やっ…あっ…』
「かわいい。我慢しないでイッていいよ」
『あっ、…イクッ…!…〜〜〜っ!!』

限度を超え、堪えきれなくなった快楽の波に絶頂を迎えた純。激しい水音を響かせながら、陰部から大量の愛液を吹かせ五条の腹部を濡らした。

『…はぁっ……はぁっ…はぁっ…』

体中に電気が流れたような衝撃を受け、頭の中が真っ白になる。甘く心地よい気怠さに気が遠くなっていくのを感じていると、それを妨げるようにして五条が奥底を突き上げた。

『…あっ…!…ご、じょうせん、ぱいっ…だめっ…』
「純、僕のこと見て」
『…んっ…あっ、あっ…』
「気持ちいい?」

閉じていた目をゆっくりと開くと、瞳の奥に熱い光を宿した美しい六眼と視線が重なり心臓がドクンと高鳴る。全身を見られているのが恥ずかしくて両手を伸ばすと、嬉しそうな笑みを浮かべた五条が純の体をギュッと抱きしめさらに中をかき乱す。

『…んっ、すごい、きもちいっ…』
「…僕も気持ちいい。愛してるっ…」
『…わたし、もっ…だいすきっ……あっ』
「…っ……純…」
『…んっ、ふぇ…あっ…』

互いに理性が飛び、ただ愛を撒き散らし、ただそれを受け入れるために求め合う。
二人だけの空間。
他はなにも考えられない。
好きで好きで堪らないという想いが行き場をなくし、行為をより濃密なものにしていくと、いよいよ終わりが見えてくる。

「…中、すごい締まってる。イキそう?」
『んっ……イキ、そっ……』
「じゃあ一緒にっ…」
『…!!』

グチュグチュと卑猥な音が速度を増し、純の喘ぎがより一層甘く響く。互いの体をキツく抱きしめ容赦なく膣の最奥を突き上げるとーー、

『あっ…!!イクッ…!イッちゃ、う…!』
「…っ、中に出すよっ…」
『ごじょう、せんぱいっ…すきっ、すきっ…ああんっ…!』
「純、大好きっ……」

二人の体は同時に絶頂を迎えた。
ドクドクと脈打つモノを押しつけて、純の中に大量の欲を吐き出す。乱れる呼吸を整えながら"愛してる。"と耳元で呟くと、吐息混じりの優しい声が"愛してます。"と囁いた。



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