『………』

曇天の空は雨とともに災いを招き、悪魔を私たちのところへと連れて来た。

降り注ぐ雨の中、目の前には人間のものである赤い血が流され血溜まりをつくり、人だった存在が肉塊と化し辺り一面に落ちていた。まるで地獄絵図のようなその光景に、全身が震えて頭を鈍器で殴られたような痛みが走り段々と心臓が強く脈打ち始めて息苦しい。
それは一瞬の出来事で、私はただ…仲間が次々と巨人に食べられていく姿を絶望と恐怖の中見ていることしかできなかった。

なんて無力で、情けないんだろう。
現れた巨人を一体、また一体と駆逐していく最中も仲間は死に何故か私だけがこうして生き残ってしまった。ああ、でもどうだろう。ガスは本当に残りわずかで目の前には不敵な笑みを浮かべた気持ち悪い巨人がずっと私を見つめている。最後の一匹だ。
きっと仲間を助けられず戦う術をなくした私を嘲笑っているんだろう。後数秒したら、あの血で染まった大きな手に捕まれ私もただの肉塊と化して最後を迎えると思う。

生きて帰ると、そう約束したのに。

『…ごめんなさい……っ…兵長…っ』


暗雲の壁外調査
(命を捧げる覚悟はあるか)


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