腕の花束はもう枯れている
親父の手術が成功し、容態も健康そのものに戻ったのをきっかけに家族揃って久々の日本へ帰国した。いやにニヤニヤしてる妹に荷物を全部押し付けて向かう先は一つ。
「好きだ結婚を前提に交際してくれ」
花束なんて柄じゃないからあっちで買った今アメリカでカップルで流行ってる揃いのペンダントを投げつけるように渡せば「は?ふざけんなよお前」と投げ返された。そのとき真っ赤に染まった耳を見逃がさなかった俺は偉いと思う。
「そんなこともあったなあ」
「お前よくうちの親の前であんなこと言えたな」
「挨拶の手間が省けるし、喜んでたからいいだろ」
「まああんなにあっさり受け入れるのはどうかと思うけど……」
とにかく早く会いたくて時間とか場所とか全部頭から吹っ飛んでいたから、家に押し掛けたのはまさかの朝の7:21の朝食真っ只中だった。時差もあったし時間感覚が狂っていたのは認めるがまさか寝癖爆発させた姿で出てくるとは夢にも思わないだろう。女子なんだから少しは気遣えよ。ポカンと俺を見上げてる姿すらいとおしい見えた俺も俺だが。
「どうしようもない子だけどよろしくお願いします」と大号泣で頭を下げたお袋さんと親父さんを頬をひきつら背て見ていた紅葉だが、寝癖の跳ねる頭を掻きながらの返事を今本鮮明に覚えている。
「『お互いに幸せになれるよう努力するならいいよ』だったっけか?」
「お前よく覚えてるな……」
「普通なら『幸せにしてくれるなら〜』とかだろ?少し変わってたから気になってたんだよ」
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