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自分で言うのもなんだけど方向音痴で割と人生損してると思う。待ち合わせ場所になかなか辿り着けないし、集合時間も大幅に遅刻してしまうことが多い。ありがたいことに周りに理解のある人が多かったから今まで迎えに来てもらったりしてなんとか大問題はなく生きてこれた。
それでも昼休みにわざわざ職員室に連行されたのは、分かってはいるけど遅刻が多すぎるという先生のお小言だった。これでもだいぶん気を付けてはいるんですよ先生、と言えばもっと気を付けろと笑顔で食い気味に言われた。先生怖いです。もうこれもある意味個性だと思ってほしいんだけどな、サポート科に迷子防止装置とか作ってもらいたい。
適当に先生の小言を聞き流していると、言いたいことは終えたらしい先生はもう戻っていいぞと言う。これ以上小言を聞くのは嫌だったので、失礼しましたと言って早々に職員室から出た。
5限目に間に合うように教室に戻れるかな、と思いながら、連行されてきた道を思い出して歩き出す。確か職員室来た時は職員室すぐ横の階段を1階まで降りてきたはず、なんだけどしばらく歩いても階段は見つからない。おかしい。もしかして真反対に歩いてきちゃったのかな。一度職員室へ引き返そうとくるりと方向転換すると見覚えのある人が後ろにいた。
「…ストーカー?」
「ブッ飛ばすぞ!」
盛大に舌打ちしている爆豪くんは邪魔だと言わんばかりに睨みつけてくる。購買で買ったのか手には購買部特製激辛カレーパンが3つと牛乳が握られており、まさに今から昼ご飯を食べるところのようだ。カレーパンの香ばしい匂いが私の方まで漂ってきてお腹がぐーっと音を上げた。よし、今日の昼ご飯はカレーにしよう。
「爆豪くんは今からどこに行くの?」
「どこでもいいだろうが」
「じゃあついでに教室に連れてって」
「はァ?なんのついでだよ!」
「爆豪くんのせいでカレー食べたいんだよ!財布教室なんだよ」
「知るか!勝手に行けや!!つか2年教室真逆だなんだよボケ!!」
「まじか」
「どうやったら間違うんだよてめェ」
「いやーそんなに褒められると照れるー」
「ブッ殺すぞ」
釣られてカレー