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個性事故はご存知だろうか。個性が上手く操作できず暴発してしまい、周囲を巻き込んでしまうことだ。そして今日私は巻き込まれてしまった。なんちゅーこっちゃ。

個性を暴発してしまった人曰く、一番親しい異性へのスキンシップが激しくなってしまうらしい。一番親しい異性って言ったらお父さんじゃないの?それなら学校にいる間は逆に安心だ。家に帰ったら自分の部屋に閉じこもれば完璧。しかも効果は24時間で切れるらしい。なんてことはない。とは思いつつマスクは予防効果ありとのことでマスクだけはした。これで完全防備じゃないか。



「うつすんじゃねぇぞ」
「ちょっとくらい心配してくれてもいいのに。あと風邪じゃない」



1週間ぶりに会ったのにその言い草。個性事故にあった話をすればマヌケと言われた。事故なんて早々自分で避けれるもんじゃないからね。爆豪くんも遭ってみれば分かるよ。

知ったこっちゃねぇとばかりに私を無視してトレーニングに集中する。今日も今日とていつも通りだね爆豪くん。元気でいいことだ。
私もいつも通り近くの木陰に腰を下ろし、鞄の中から暇つぶし用の教科書とお菓子とペットボトルを取り出した。もうお決まりになっている行動に爆豪くんも何も言わない。ペットボトルの蓋をひねりマスクをずらして一口、二口と飲んだ。
ふと顔を上げるとすぐ横に爆豪くんがこちらをじっと見て立っている。



「どうしたの?お茶欲しいの?」
「いや、」
「あ、間接キスが気になるお年頃?」



いやーん、なんて続けようとした時だった。立っていた爆豪くんがしゃがんで私と同じ視線に並んだ。あ、顔近い、と思ったらちゅっと唇にキスされた。



「え?」
「は?」