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「由々しき事態が起きてる」
「あ?」
廊下で偶然会った爆豪くんの腕を引っ張って物陰に押し込んでそう言うと爆豪くんは眉間のしわを増やした。
この前上鳴くんと瀬呂くんから聞いた爆豪の彼女という噂が学内でわりと広がっているらしい。ここ最近周囲からの視線がチクチクする。好奇の目にさらされている気がする。直接聞いてくれれば否定できるものの皆遠巻きに見てくるから話もできない。
「爆豪くんが私のクラスに突入してくるから!」
「てめぇがパンケーキ屋に連れて行くからだろうが」
「あ!あそこ美味しかったしまた行こう」
「行ってられっか!胸焼けするわクソが!」
「あのクリーム量で胸焼けだなんて爆豪くんまだまだだね」
「ほざけ!まだまだいけるわクソカスが!!」
爆豪くんって割とノリ良いな。拒否られると思ってたのに二度目の約束が成立してしまった。というか本題が反れてしまった。本題は噂話をどう消すかだ。
「どうすんのさ!」
「言いたいモブには言わせときゃいんだよ」
「男前か!」
爆豪くんらしいキッパリハッキリ他人は気にしません発言いただきました。でも私は言わせときゃいいなんてできるか。爆豪くんみたいに注目され慣れてないんだよ。第一、爆豪くん性格クソだけどせっかくモテるのに彼女持ちと誤解されたらモテなくなっちゃうかもしれないんだよ。せっかく顔イケメンなのに。爆豪くんは私から目を反らして私の話を聞いてるのか聞いてないのかよく分からない顔でいる。
「興味ねぇわクソが」
「爆豪くん、自分のモテ具合の有難さに気づいてないな」
「アホかてめぇ」
「もったいない」
「知るかボケ」
もういいかと言わんばかりに話していた物陰から出ようとする爆豪くんの腕を引っ張ってなんとか引き留める。眉間にドンドンしわが寄っているのは見えるけれども、ちゃんと噂の誤解は解かないとまずいって。
「離せやクソ迷子!」
「駄目だって!このままじゃモテ男陥落だよ!?」
「ざけんなクソが!誰彼構わず告白されりゃいいってもんじゃねぇんだよ!」
「爆豪くんから意外な発言が!」
「ほんっとふざけんなやてめぇ!」
噂の彼女