31



「?!」
「や、やあ!爆豪くん」
「なんでてめぇがいやがる!」
「うるっさい!」



スパーンといい音をたてながら爆豪くんの頭が叩かれた。爆豪くんが叩かれる姿なんて貴重だ、なんて思っていると叩かれながらも私を睨んでいたので少し背筋がゾッとした。執念怖い。
ただ爆豪くんの言いたいこともすごく分かる。何故、どうして、私が爆豪くんの家にいるのか。



「道聞こうとしたら爆豪くんのお母さんでした」
「面白いから家に呼んでみた」
「ほんとになにやっとんだクソが!!」
「人様をクソって言わない!」



また爆豪くんの頭が軽快な音で叩かれた。
今日は家から離れた場所で用事があって、爆豪くんのお母さんと会ったのはその用事が終わって帰る途中にいつものように迷子になった時だった。道を聞こうと声をかけたらあまりに爆豪くんにそっくりで声が出なかった。爆豪くんのお母さんは慣れているのか勝己の知り合い?と気さくに話しかけてくれた。なんだかんだと話がはずみ、用がないならお茶しにおいでとお呼ばれされた次第だ。爆豪くんとは違ってお母さんはとても気さくだ。本当に。



「お茶のおかわりいる?」
「あ!ほしいです!これ美味しいですね」
「じゃあ淹れるわね」
「てめぇ人ん家来てまで図々しいな」
「爆豪くんに言われたくない」



爆豪くんのお母さんが爆豪くんにあんたもいる?と聞くと、いると素直に言う爆豪くん。定位置なのか分からないけどなんの疑問もなくダイニングテーブルに座る私の隣に座った。代わるように爆豪くんのお母さんがキッチンへ立ったその隙に爆豪くんの横顔をじっと見る。改めて見ても爆豪くんと爆豪くんのお母さんはそっくりだ。顔もそっくりだけど色白なところもそっくりだ。羨ましい美人親子だなぁ。なんて考えていると私の足に衝撃が走った。当たったとかじゃなく、遠慮なしに踏んでくる爆豪くん。



「踏んでる踏んでる」
「人の顔じろじろ見んなや」



ギロリと私を睨む爆豪くんに美人が勿体無いという言葉を飲み込んだ。たぶん、間違いなく怒られる。クソがとばかりにイライラしている爆豪くんが普通の家にいるとなんだか新鮮だ。背景が似合わない気がしてちょっと面白い。こうなると爆豪くんの部屋が気になる。



「後で爆豪くんの部屋見せてね」
「は?嫌だわ」
「減るもんじゃないしいいじゃん」
「酸素が減る」
「じゃあなるべく呼吸しないように頑張る」
「どんだけ見てぇんだクソが!」
「人様をクソって言わないって言ったでしょ!!」