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「おっ!」
「わっ、ミリオ先輩!!お久ぶりですー!!」
「間宮!久しぶりー!」



ミリオ先輩の元へ駆け寄れば、いつもの爽やかな笑顔で私を受け入れてくれた。ミリオ先輩ミリオ先輩とまとわりつけば、挨拶がわりの一発芸を披露してくれた。一発芸はいまいちでも先輩が可愛くて思わず笑ってしまう。そんなミリオ先輩の影からひょこっと環先輩が顔を出す。



「こんにちは」
「環先輩!お久しぶりです!!相変わらずイケメンコンビですね!」
「だって、環」
「うっ、お世辞言わなくてもいいんだよ。だいたい俺がミリオみたいにイケメンなわけないのにそんな」
「環先輩、久しぶりなのにネガティブ」
「辛い」



相変わらずネガティブっている環先輩をまあまあとミリオ先輩と一緒に慰める。この感じのやり取りも学年が上がってから久しぶりで嬉しくなる。



「最近迷子は大丈夫?」
「順調です!」
「元気そうで安心した!」
「順調じゃ駄目じゃない?」
「迷子になったら誰かに助けてもらえてる?」
「あー、一応」



爆豪くんの顔を思い浮かべて苦笑いが出た。私の様子に2人はキョトンとし、ミリオ先輩が何か困ってるのかい?と言う。



「困ってるわけじゃないんですけど、なんせ暴力的で」
「あ」
「どうしました環先輩」
「もしかして噂になってるのって間宮さん?」
「!」
「アー!なんか体育祭ですごかった1年生が2年教室にメンチ切って入ってって彼女連れ出したっていう」
「9割合ってるけど最後が違う!付き合ってないです!!」
「間宮のことだったんだな!」
「お二人の耳にまで入ってただなんて」
「彼氏じゃないの?」
「彼氏でも彼女でもないです!」
「彼女だったらヤバい」



ただの噂です、と念押しするとそうなんだとあっさり納得してくれた。噂って怖いな。どこまで広がってるんだろう。考えただけで怖い。元気出せよとミリオ先輩が慰めてくれて少し元気が出た。
と思っているとスカートのポケットに入れていた携帯がブルブルと震えてメールが着たことを知らせる。先輩たちに少しすみませんと言ってメールを開けば、話の人物である爆豪くんからだった。あまりのタイミングの良さに思わずひっと声が出た。爆豪くんからのメールなんて珍しいのになんだ図ったようなこのタイミングは。



「どうした?」
「今、ちょうど話してた人からメールが」
「なんて?」
「怖くて開けない」
「それは可哀想だから開けなよ」



促されるままメールを開くとなぜか怒っているスタンプが送られている。なんで1人で怒ってるんだ、怖いよう。なんて返せばいいんだろうと悩んでいると返信する前に今すぐ教室に来いと文章が送られてきた。私、何かしたかな…。



「教室だって」
「うう、たどり着ける自信がない。先輩方、付いてきてもらえませんか?」
「(怖いと言いつつ行くんだ)」
「教室までね、いい」
「ミリオ」
「え、なに環?…あ!」
「どうしたんですか?」
「ゴメン!俺たちこの後用事があったんだ!」
「ごめんね」
「そんなっ!!」



あああ、これ、たどり着けなくて爆豪くんに爆破されるやつじゃないか?!ミリオ先輩は親切に教室までの行き方を教えてくれるけど、人に教えてもらってもたどり着けることはあんまりない。自信ないと思っていると大丈夫と言ってミリオ先輩は私の背中をぽんっと押していってらっしゃい!と言った。ここまでされたら行くしかない。先輩たちにはまた遊びましょうねと言って教室に向かって走り出した。







「たどり着けるかな?」
「着かなくても迎えに来るんじゃない?例の彼氏が」
「視線痛かったなー!」
「いつから見られてたんだろう」
「俺たち気を利かせたいい先輩だよねっ」
「敵認定されてそう。いやだな」
「男の嫉妬、見苦しーってやつ?」