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「なんだそれは」
「それって言わないの!」
「びえええんっ」
「ほら爆豪くんが凄むから泣いちゃったじゃんか」
「泣くなガキ!」
「だから凄まないの!大丈夫だよー、怖くないよー」



泣く子ども抱き上げてよしよしとあやす。教室に戻ろうとして校内を迷子になっていると、高校ではまず見ることのないくらい男の子を見つけた。どうやら雄英の保護者が連れてきた子どもらしいんだけど親とはぐれたらしい。年齢を聞く拙い手で3歳と教えてくれた。かわいいすぎる。とりあえず職員室に連れて行こうと迷子になっていたところにタイミングよく爆豪くんが現れた。



「迷子が迷子連れてんじゃねーよ!」
「くっ、反論できない」
「おねえちゃんも迷子?」
「ああ」
「爆豪くん変なこと吹き込まないで」
「じゃあおれとお揃いだ」
「っ、か、かわいいっ!つれてかえりたい」
「おい犯罪者」



ぎゅうっと抱きしめると爆豪くんに頭を小突かれた。うう、かわいいよ、素直だよ。普段爆豪くんみたいな可愛くない後輩を見てるから癒される。でもこの子のお母さんは心配してるだろうな。早く職員室に連れて行ってあげないと。泣き止んだ子どもが下に降りたがったのでおろして手を繋いで、爆豪くんが先導するかたちで職員室へ向かう。



「これなにー?」
「これは掃除道具が入ったロッカーだよ」
「あれはー?」
「あ、だめだよ勝手に行っちゃ!」
「行きたいー!」



私の手を振り切って先を走り出す。これは迷子になるはずだ。追いかけようとするとそれより先に爆豪くんが動いて、子どもの襟首をむんずと捕まえて俵のように担いだ。後ろを歩く私といきなり視界が変わってびっくりしてる子どの目が合う。



「ちょこまかすんな」
「うおお、たっけぇ!おねえちゃんよりたけぇ」
「おお、笑ってる。良かった」
「肩車!おにいちゃん肩車して!」
「あ?我儘言ってんじゃねぇ」



そう言いながら俵から肩車へシフトチェンジしてあげる爆豪くん。なんだ、爆豪くんから父性が溢れてる。珍しすぎる。こそっとスマホを取り出して気づかれないように写メを撮ろうとすると振り返って睨まれた。後ろに目でもあるのか。



「あ」
「あ、上鳴くんたち」
「うおっ!爆豪と間宮先輩?どうしたんすかその子」
「え!?なに爆豪の隠し子!?」
「高1でパパかよ!」
「うっせぇぞてめぇら!」
「いやなかなか爆豪くん子守上手。イクメンパパ」
「まじか」
「意外すぎだろ」
「ここでも才能マンかよ」
「これから育児は爆豪くん担当だね」
「ざけんなや!てめぇも参加しろや! 」
「うん?じゃあ私オシメ変える係ね」
「なにこの会話」
「俺たちなに聞かされてんだ」
「な」