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校内に最終下校のチャイムが鳴り響く。課題を教室に残ってやってたらこんな時間になってしまった。もうほとんど覚えた帰り道の廊下を少し早歩きで歩いていると、もう後ろ姿で完全に誰か分かる程に遭遇する爆豪くんの後ろ姿を見つけた。こんな時間に校内にいるなんて珍しいな。この時間なら大抵外でトレーニングに励んでるのに。爆豪くん、と声をかけようとすると物陰で隠れて見えなかった女子の姿が隣に見つけた。…おっと、これはまずいところに遭遇した。
気付かれないように少し距離を取ってこそっと物陰にしゃがんで覗く。爆豪くんたちがどんな様子なのかは後ろからじゃ分からないけど、爆豪くんが隣の女子を置いて行ったりしない辺り、相手は友達かそれ以上か。まぁ爆豪くんなんだかんだモテるからな。前告白されてた時は邪魔しちゃったから今日は邪魔しないようにそっと帰るか。
なんとなく変な気持ちになりながら物陰から立ち上がった。その瞬間、ゴンッと頭に衝撃が走って思わずしゃがみこんだ。
「いっ!」
「痛ってぇ!!」
「おわっ!」
じわじわと痛くなる自分の頭をさすりながら何事かと思って声のする真上を見ると上鳴くんと切島くんがいた。
上鳴くんは顎と頭を抑えて痛がっていて、切島くんは顎をぽりぽり掻きながら上鳴くんに大丈夫かと声をかけている。なにこれどうなっているんだ。混乱していると切島くんが私の視線に気づいてくれ、大丈夫っすかと手を差し伸べてくれた。ありがたく切島くんの手を借りて立ち上がる。
「切島も先輩もひどい!めっちゃ痛いんですけど!」
「え?なに?状況に追いつけない」
「前に先輩が歩いてると思ったら、いきなり物陰にしゃがみこんでなんか覗いてるからなんだろうと思って」
「え、見られてたの?」
「何してんだろうと思って先輩の上から覗こうとしたらいきなり先輩立つから!顎は先輩!頭は切島!」
「あ、ごめん、私石頭だから」
「悪い、咄嗟に硬化しちまった」
痛いと騒ぐ上鳴くんにごめんごめんと頭をよしよしする。頭には少し膨らみがあってたんこぶができていた。切島くん怖いな。そう思っていると、なにやってんだてめぇらと覗いていた方向から声が聞こえた。あ、爆豪くんのこと忘れてた。
振り返ると眉間にしわ寄せて不機嫌そうな爆豪くんと可愛らしい女子が隣に立っていた。切島くんが麗日じゃねぇかと片手を上げるとおつかれ!と片手を上げた。そんな2人を横目に爆豪くんは私をじっと見下ろしてくる。切島くんに習って爆豪くんじゃないかと片手を上げると、あ゛?と凄んでくる。え、なに、今日は不機嫌モードなの?会った途端凄むとか私が何したって言うんだ。思わず上鳴くんの後ろに隠れる。
「てめぇ何隠れてやがる!」
「ひっ!なに怒ってんの?怖っ!」
「あ゛ぁ゛!?怒ってねぇわ!」
「怒ってるじゃん!」
「ちょっ、俺を挟んで喧嘩とかマジやめて!」
上鳴くんが怖がるのでしぶしぶ上鳴くんの影から出る。眉間のしわが多いなぁ、すっごい睨むのやめてほしい。切島くんがまぁまぁと宥めて、隣の女子が爆豪くん怖っと呟くと、女子の呟きにくってかかる。おいおい、そんな態度だとその女子にフラれちゃうよ爆豪くん。意外に面倒見がいいとか、目標に一途とか、良いところアピールしていかないと駄目だよ。ちょいちょいと上鳴くんの袖を引っ張ると、爆豪くんたちの様子を見ていた視線を私に移した。
「なんすか?」
「私たちお邪魔じゃない?」
「はぁ?」
「隣の可愛い子はそうじゃないの?」
「えー、いやー、ないと思いますよ」
「じゃあ爆豪くんの方が」
「それはない」
「なにその根拠のない自信!」
「…ちょっともう何も言えねっす」
「え、なにそれ」
「なにコソコソしてんだそこのクソども!」
なんとなく