59
「おっ、休みの日なのに偶然だね」
「また迷子か」
「学校の敷地広いよねー」
寮生活になって早数週間、迷子率が2年に上がった時と同じになった。特に寮から校舎への道は難関だ。クラスメイトたちについて行けば行けるんだけどね。ただし今日は、補講で何度も連れてったからもう覚えただろと補講が休みのこのタイミングで校舎まで1人チャレンジしてこいとクラスメイトたちに寮から追い出された。なかなか酷い。みんな私の方向音痴度を見誤ってる。案の定迷子。もう慣れっ子だ。まあ敷地外と違ってここなら最悪ロボが見つけてくれるからいいんだけど、と思っているところで爆豪くんと遭遇した。休みだからかTシャツジーパンとラフな格好の爆豪くん。ぱっと見トレーニングしてるわけでもなさそうだ。
「爆豪くんはこんなところで何してんの」
「てめぇには関係ねぇだろうが」
「あるに決まってるじゃん!この後送ってくださいお願いします!」
まっすぐぴっちり頭を下げて速攻で頭を上げた。背に腹は代えれないから頭は下げるけど長く下げる頭は持ってない。なにより、その様子をにやにやしながら見てる爆豪くんがとても腹立つ。
「頭下げる時間が足りねぇわ」
「…性格悪」
「あ゛?なんか言ったかコラ」
ギロリと睨まれた。これ以上爆豪くんの機嫌を損ねる行為は止めとこう。置いて行かれる可能性がある。癪だけど仕方なくもう一度頭を下げる。
「バクゴーサマどうか寮までお願いし」
「っ!」
急に両肩を掴まれてぐいっと上半身を起こさせられた。
え、なに。ビックリしてとりあえず爆豪くんの顔を見る。少し焦ったような顔を一瞬した後、さっきよりもキツくギッと睨んできた。
「頭下げんじゃねぇクソ迷子が!!」
「理不尽!!下げろって言ったの爆豪くんじゃん!」
「ざけんな!死ね!!」
「めっちゃ理不尽!!」
なんだいきなり!どこでスイッチが入ったんだ。爆豪くんは私から離れて顔を背けている。なんなんだよ全く。こんなんじゃ頭の下げ損だよ。恨みのこもった視線を爆豪くんの後頭部にぶつける。ちらりともこっちを見ない爆豪くんをしばらくじとーっと無言で見続けていると、舌打ちをして振り返った。
「その服で屈むんじゃねぇよ」
自分の胸元にトンと人差し指を置く爆豪くんにつられて自分の胸元に人差し指を置いた。胸元が少しだけ開いたTシャツを着ていた。
さっきの行動の意味が分かって一気に顔に熱が集まる。
「お、お見苦しいものを、お見せしました…」
「おう、気ぃつけろや」
「そう言われると腹が立つな」
薄着でチラリ