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ザーザー降りの雨が止んで青空が戻ってくると、例え地面が一面水浸しだとしても気分が上がるというもんだ。今日はなんだか無事に寮まで着けそうな気がする。早く帰って楽しみに取っておいた漫画の新刊を読もう。そんな浮ついた気持ちで踏み出したその一歩。レンガ色したコンクリートの上を踏んだ瞬間、足がツルっと滑った。
「っ!」
せ、セーフ!なんとか立て直して一歩を踏み出して転ぶことは回避できた。良かった。こんなところでこけたらびしょ濡れになるところだ。せっかく晴れたのに勿体ない。体を立て直してほっと一息つく。そしてすぐにキョロキョロと辺りを見回した。ラッキーなことに辺りには誰もいない。もう一度ほっと一息ついた。こういう時、友達がいたら笑ってくれるけど、知らない人だとすごい気まずい雰囲気になるんだよね。
「なにやっとんだ」
「わあああ!!」
「うっせぇわ!!」
「びっくりした!!爆豪くんかよ!」
急に背後から声かけられてつい大声を出してしまった。振り返ると爆豪くんが眉間に皺を寄せて立っていた。
「急に現れないでよ。心臓飛び出るじゃん」
「普通だわクソが」
「いや、全然気配無かった」
「てめぇが鈍いからだろ」
「いや、爆豪くんがおかしい。というかいつから居たの?」
「アホ面晒しながら一歩踏み出した辺り」
アホ面?記憶を少し遡る。あ、浮ついた気持ちで歩き出したところか。…というかそれ、最初から見てたんじゃんか!うわああ恥ずかしい。
「見てたなら声かけてよ!!」
「かけただろが、辺り見回してた後に」
「さらに恥ずかしいところまで見られてる!!」
「ほんとどんくせぇな」
「うわああその勝ち誇った顔めっちゃ腹立つ!!」
雨が明けたら