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「いやー、取ったね」
「取り過ぎだろクソか」
「主に爆豪くんが取ったじゃん」


取ったばかりの水風船のヨーヨーを右手の中指に付けてポンポンとリズムよく叩く。爆豪くんの手には10個。屋台店主のおじさんの嫌な顔を思い出す。爆豪くん遠慮なしだったな。一本のこよりで10個取ってしまった。爆豪くんの才能マンめ。ただ爆豪くんが大量の水風船を持っているファンシーな様子は似合わなすぎて割と面白い。

学校からほど近い河川敷で毎年行われる花火大会。雄英生の多くが毎年の恒例行事のひとつとして遊びに行っていた。今年は寮制になって行けないんじゃないかと思えば、外出届を出せばお祭り参加の許可が出た。そんなこんなで人で賑わう花火大会会場。


「やっぱり人が多いねー」
「また迷子放送したら殺ス」
「わぁ物騒!じゃあはぐれたらどうすんの」
「ケータイ使えや!」
「圏外だったら?」
「帰れ」
「わぁあ無理難題!」


これははぐれたら二度と会えなくなりそうだ。今日ははぐれないように気合を入れなければ。


「あ、林檎飴!買おう買おう!!」
「行ったそばからうろちょろすんじゃねぇクソ迷子!!」
「おじさん林檎飴ひとつ!」
「まいどー!」


林檎飴を受け取って爆豪くんの方へ振り返る。イライラした様子の爆豪くん。ごめんごめんと謝ると眉間にしわを増やして舌打ちをした。あんまりしわ増やすと将来困るぞ爆豪くん。包装を剥がすと美味しそうな紅い林檎飴が現れる。一口食べると口の中に甘い飴の味とりんごの酸味が広がる。


「爆豪くんも食べる?」
「いらね」
「美味しいよ?」
「クソ甘ぇだろそれ」
「爆豪くんに足りないものだ」
「ああ゛!?足り殺とるわ!」
「あっ!私の林檎飴!」
ガリッ
「やっぱクッソ甘ぇ!」
「人の食べといてその言い草…、はっ!もしやずっとオヤジギャグ言ってた?」
「ブッ飛ばすぞ」