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「うろちょろうろちょろ!少しはじっとできねぇんか!!」
「いやー、いろいろ目移りしちゃって」
「ガキかクソが!」
「爆豪くんだって射的とかノリノリだったじゃん」
「うるせぇわ!」


カッカと怒りながら歩く爆豪くん。自分も十分楽しんでたくせに。横暴だなぁと思いながら携帯をチラリと見るともうすぐ花火が上がる時間だ。爆豪くんがカッカしている理由が分かった。花火会場は屋台が立ち並ぶこの通りの奥だ。うーん、確かに興奮して遊びすぎたかも。


「急がないと始まっちゃう」
「分かっとるわ!」


そう言うと隣を歩いていた爆豪くんのスピードが上がった。ガチで急ぐ気だこの人。爆豪くんの背中を小走りで追う。というかホントに早いなヒーロー科!人混みを器用にすいすいと避けながら行く爆豪くんになんとか食らいつく。


「爆豪くん!ちょっと待って!」
「あ?」
「わぶっ!」
「何ぶつかっとんだ」
「急に止まらないでよー!」
「待てっつったろが!」
「だって早いんだもん」
「ちゃんと付いて来いや!」
「この人混みで無茶言う!」


爆豪くんはチッと舌打ちをして私に左手を出す。反射的に自分の左手を出して握手しようとする、ところでなんとか踏みとどまった。違う、これじゃない。チラリと爆豪くんの顔を見ると眉間に沢山のしわを増やして睨まれていた。気まずくてふいと目を逸らしてセーフでしょ、と言えば、ギリアウトだわと私の右手を掴んだ。


「空気読めや」
「読んだじゃん」
「どこがだアホ」
「ギリセーフだと思うんだけどなぁ。…あ」
「…チッ」
「花火始まっちゃった」
「てめぇがちんたらしてるから」
「ここからでも綺麗だよ」
「どこでもいいんかてめぇは」
「うん、今日はどこでもいい」