67



「(やっちまったなぁ)」


花火を見終えた人たちがぞろぞろと帰る行列から外れてその横で立ち止まる。無事に花火を見終えてさあ帰るかとなった時、行列に押し流される形で爆豪くんとはぐれてしまった。幸運にも爆豪くんの携帯とすぐにつながって、私が動くとさらにめんどくさいことになるからと爆豪くんのお迎えを待つことになった。せっかく気を付けてたのに最後にやってしまった感で、俯いて小さくため息をついた。自分のあんぽんたん。


「あれ?」
「え?」


行列の中からなんとなく知ったような声が聞こえて顔を上げると、そこには緑の髪をした少年が私を見て驚いた顔をしていた。この前迷子のところを助けてくれた緑谷くんだ。緑谷くんは一緒に行列に並んでいた友人たちに一声かけると、列から抜けて私の元へ近づいてくる。


「緑谷くん」
「こんばんは。こんなところでどうしたんですか?」
「一緒に来てた人とはぐれちゃって、今お迎え待ちなんだ」
「そうなんですか、てっきり迷ったのかと」
「あ、もしかして心配してこっち来てくれたの?」


緑谷くんはコクンと頷いて、でも心配なさそうですね、と言って笑った。なんだこの優しさの塊は。さすがヒーロー科。わざわざ列を抜けさせて友達と別れさせてしまって申し訳ない。


「抜けさせてごめんね!!心配してくれてありがとう」
「勝手にしたことなんで気にしないでください」
「緑谷くんは優しいなー!爆豪くんにもこれぐらいの優しさがあればいいのに」
「え?」
「え?」


笑っていた緑谷くんがピタリと止まって私を見る。何か変なこと言っただろうか。心配になって緑谷くんと問いかける。


「どうかした?」
「間宮先輩、かっちゃんのこと知ってるんですか?」
「かっちゃん?爆豪くんのこと?」
「何しとんだ」


いきなり後ろから左肩をぐいっと引っ張られた。強い力で引っ張られたせいで態勢が崩れて後ろに倒れそうになるも、引っ張った張本人の胸板に後ろ向きのままぶつかる。張本人である人は私がぶつかった位じゃピクリともしない。


「あ、爆豪くん」
「クソかてめぇは」
「出会い頭に酷くない?」
「かかかっちゃん!?」
「あ?…あ゛あ゛!?なんでてめぇが居んだデク!!!」
「ヒィっ!いや、僕はただお祭りに来ただけで」
「ちょ、どうしたの!?緑谷くん同じクラスの友達じゃないの?」
「なんでてめぇデクの名前知ってんだクソ迷子!」
「この前助けてもらったから」
「このクソカス迷子!!」
「シンプルな罵倒!」
「お、落ち着いてかっちゃん、相手は先輩だよ!」
「うるせぇクソナード!!」
「え、なに、君たちあだ名で呼び合う仲なの?仲良しなの?」
「誰が仲良しだブッ殺すぞ!」
「かっちゃん物騒だよ!」
「そうだよかっちゃん!」
「調子乗ってんじゃねぇぞクソ迷子!」
「あいたっ」