68



「それでさぁかっちゃん」
「おい」
「ん?どしたのかっちゃん」
「てめぇ、さっきから舐めとんのか」
「え?かっちゃん怒ってる?」
「かっちゃかっちゃうるせぇんだよクソカス迷子!」


暗くなったお祭り帰りの道で爆豪くんは怒鳴った。爆豪くんが現れて緑谷くんは逃げるように帰っていった。仲良さそうなあだ名で呼んでる割に怯えてるみたいで変な関係だな。とは言いつつ爆豪くんの友だちが切島くんたちだけじゃなくて他にもいて安心した。こんだけ性格に難があると心配も尽きないよ全く。だからついかっちゃんと呼びたくなる。


「緑谷くんだって呼んでたじゃーん!減るもんじゃなし」
「うぜぇ!合間合間に入れんじゃねぇよ」


隣を歩く爆豪くんを見ると眉間にしわを寄せていたけど、そんなに怒った様子もない。あれ、会話の端々にかっちゃんと入れてたのが気に食わないだけで、かっちゃんと呼んでたこと自体は別に怒ってないのか。


「かっちゃん」
「んだよ」


素直かよ。からかい半分で呼んでいたこともあって、そう反応されると逆にどうしていいか分からなくなる。なんだろう、この敗北感。

「か」
「あ?」
「かつき、…くん」
「なんだよ」
「…やっぱ今の無し」
「意味分かんねぇわ」


つい負けたくなくて爆豪くん吃驚しろと思いながら下の名前で呼んでみたものの、瞬間に不思議な恥ずかしさがこみ上げてきて言い淀んでしまった。ちょっとは恥ずかしがれよ。


「あー可愛くない!」
「はんっ、てめぇとは違ぇんだよカスが」
「もうこうなるとかっちゃんと呼び続けるしかない!」
「クソかてめぇ」