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「お、爆豪くんだ」
「…」
「うわ、顔!怖さに箔がついた!」
「喧嘩売ってんのかてめぇ!!」
「こわっ!」


掌から火花をパチパチと鳴らしながら噛みつきそうな勢いで睨んでくる。前世は犬か狼なんじゃないか。寮に帰ろうと1人で校舎を出たところで頬に治りかけの傷を作っている爆豪くんが立っていた。この前聞いた通り殴り合いの喧嘩をした時の傷だろう。近寄ってさらにじっくり見ると細かい傷も多くある。


「謹慎明けたんだね」
「なんで知ってんだクソが!」
「全校集会でも話に上がってたよ。よっ、問題児!」
「ブッ飛ばすぞ!」


掌からさらに大きな火花が散った。テンション高いな!謹慎させられてたから血の気が有り余ってるよこの人。ボロボロにされたと聞いたからちょっと落ち込んでるかと思ったのに、全然平気じゃないか。心配して損した。


「で、喧嘩の原因なんだったの?」
「てめぇには関係ねぇ」
「わー、冷たい!」


掌から火花が消えたのを見て、爆豪くんから顔を背けた。急にボリュームダウンした声にこれ以上聞くなという爆豪くんが言っているのような気がした。なんとなく気まずい気がする。


「と、ころで爆豪くん」
「あ?」
「なんでここに?1年教室はあっちだよ?迷子なの?」
「てめぇと一緒にすんなやクソカス迷子!」
「えー、なろうよ、迷子仲間」
「ざけんなクソが!」
「ちぇー」


いやまあ実際なったら大変だから仲間じゃない方がいいんだけど。爆豪くんから目を背けたまま寮のあるであろう方向へ身体を向ける。


「おいこら」
「え、なに?」
「来いや」
「え、ちょっ、ちょちょちょ!後ろ向き!」


首の襟部分を鷲掴みにして、私が向いた方向とは逆方向に歩き出す。もつれそうな足を必死に回転させる私に、爆豪くんは遠慮なしにヅカヅカと歩く。どこに連れて行く気だ。掴まれたままなんとか身体を反転させて前を向くと、爆豪くんは掴んでいた手をぱっと離した。


「離すなら最初っから離してよ!変なところが痛くなったじゃん」
「てめぇがどっか行こうとするからだろが」
「いや寮に帰るだけだよ」
「勝手に帰んなや!」
「なんだそれ!」
「いいから来いや!」
「誘拐だ!人さらいー!」
「うっせぇ!!」
「ひっ!個性の使用は卑怯だ!!」


突撃