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「ぶぇっくしょん!」
「てっめ汚ねぇ!!」
「ごめんごめん」


目を吊り上げて怒る爆豪くんを横目にティッシュを取ろうと鞄の中を探す。おかしいな、この前鞄の中に入れたと思ったんだけどな。こうして探している間にも垂れてきそうな鼻水を、気合でなんとか耐える。
と、ふと目の端に何かが見えて鞄から顔を上げると、表面が少しクシャっとしたポケットティッシュを爆豪くんが差し出していた。…ティッシュ持ってるんだ爆豪くん。早く拭けとグイグイと押しつけてくるポケットティッシュからありがとうと言って一枚もらって鼻をかむ。


「ふー、スッキリした」
「風邪ひいてんじゃねぇよ」
「ただのくしゃみだよ」
「おっさんくせぇくしゃみしやがって」
「いやいや、私が可愛いくしゃみしたら幻滅でしょ」
「どうなりてぇんだよてめぇは」


可愛いくしゃみは確かに少し憧れるけど、自分がそんなキャラではないことくらい分かっている。ああいうのは可愛い女子に任せるんだ。


「あ、でも可愛い女子だけじゃなくて爆豪くんが可愛いくしゃみするのはありかも」
「あ゛!?ブッ飛ばすぞ!」
「ギャップだよギャップ!モテるぞー!」
「てめぇそう言えば男が喜ぶと思ってんだろ」
「上鳴くんとか瀬呂くんは喜んでたよ」
「一緒にすんじゃねぇ!」
「爆豪くんティッシュもすぐ出てくるし女子力高めじゃん」
「ざけんな殺すぞ」
「まじトーンかよ怖いだだだだ!」


女子力