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「あ、間宮先輩」
「お、上鳴くん」
「こんちわー」
「こんちわー」


食堂にご飯食べに来ていたら先日会った爆豪くんのお友達の上鳴くんがご飯を乗せたトレーを持ったまま笑顔で挨拶してくれた。へらっと笑って言う彼につられて思わずこっちもへらっと笑って返す。こんな子が爆豪くんと友達だなんて、恵まれてるな爆豪くん。


「先輩一人っすか?」
「うん、友達が急に呼び出しあって、食堂まで送ってもらってきた」
「相変わらず迷子なんすか」
「うん」


隠す必要もないから上鳴くんの疑問に力強く頷けば、先輩ちょーやばいっすね、と割と深刻な顔で言われた。地味にその顔傷つくな。そんな私を他所に上鳴くんは一人なら一緒に食べましょーと言って隣に座る。上鳴くんってコミュ力高いな、爆豪くん見習えばいいのに。


「上鳴くんは一人?」
「いや、切島ももうすぐ来ますよ。あ、ほら」
「あれ、間宮先輩」
「こんちわー」
「ちわっす」
「…このメンバーってさ、もしかしてだけど爆豪くん」
「いねぇっす」
「そうなんだ」
「爆豪の奴、人ごみは嫌いだって言って食堂にはあんま来ねぇんすよ」


トレーを持ったまま一瞬どこに座るか悩んだ切島くんは上鳴くんの正面にトレーを置き座った。2人のご飯は全てのおかずとお米が大盛りになっていて、私のB定食の2倍はありそう。やっぱりヒーロー科って大変なんだなぁと思いつつ見ていると、2人はいただきますと言ってご飯にかぶりつく。いい食べっぷりに感動すら覚える。爆豪くんもこんな感じでよく食べそうだなぁ。


「ふぉおひえば」
「うん、ちゃんと飲み込んでから喋ろう上鳴くん」
「んぐっ、爆豪とはどうなってんすか?」
「どうなってる、とは?」
「付き合ってんすか?」
「…」
「あ、ごめんなさい」
「先輩顔怖いっす」
「いや、ありえない言葉聞いた気がして」


爆豪くんと付き合う、だと。あの口悪い・目つき悪い・性格クソみたいな爆豪くんと?考えただけで恐ろしい。女だろうがなんだろうがどつく人だよあの人、これで好きとかどMじゃないか。


「でもよく一緒に帰ってるんすよね?」
「気持ち悪いくらい迷子中に遭遇するんだよね」
「でもそこから爆豪送ってくんすよね?」
「一緒にって言っても校門から置いて行かれるよ」
「え、なにその微妙な感じ」
「この前なんかちょっと悪戯したらめっちゃキレられてどつかれた上に校門まで引きずられたからね」
「怖ぇ!」
「悪戯ってなにしたんすか?」
「休憩してた爆豪くんの頭に木の枝差して遊んでた」
「恐れ知らず…っ」
「先輩、ドMなんすか」
「え、そんなに引かなくても」


いやだってトレーニング待ちで暇だったんだよ、と言うと上鳴くんと切島くんは顔を見合わせてコソコソと喋りだした。ちょっと、他の人の前でコソコソ話すなんてコソコソ話のルール違反でしょ。喋り終わると2人は私を向いて恐ろしいものを見るような目を向ける。え、なんなの。


「先輩怖え」
「え、何が」
「気づいてないのが」
「は?」
「「ちょー怖え」」
「え、何それ、私の方が怖いんだけど」