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「あんたのことも聞いたことがあるよ!グレイターミナルで天使だのシスターだのなんだのと呼ばれてるようだけどね!ボケッとしてたらすぐさま売ってやるからね!!」
「あ、あの、私、なまえと申します。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」
ペコリと頭を下げると、大柄な女山賊──ダダンさんはびくりと狼狽えたようだった。
「ほ、本当に迷惑ったらありゃしないよ!!うちでは面倒見ないからね!!ショバ貸してやるんだ、自分達でなんとかやんな!!」
シスター服のせいなのか、背中の翼のせいなのか、はたまた言葉遣いのせいなのか。もしくはそれら全てか。
ダダンさんは私をじろりと見てそう言うと、ずかずかと部屋へ戻っていった。
「わぁ……ダダンさんって優しいんだねぇ」
「お前ダダンの言葉聞いてたか?」
白けた顔で私を見るエースとサボ。
此方に危害を加えず寝場所を貸してくれるだけでも、充分親切だと思うけど。グレイターミナルで寝ようと思ったら二度と目が覚めない可能性を考慮しなくてはならないし。いや、私の場合は気がついたら檻の中、かも。
そもそもエースが私を連れて来たことが一番の安心材料なのだ。サボもエースも心配性なので、私が危なくなるような場所へは連れて来ないだろう。恐らく。きっと。
そんなような内容をかいつまんで二人に伝えると、二人の顔はますますひしゃげた。何でよ。
泣きすぎて重たくなっている頭を軽く降ると、瞼をなんとか持ち上げ、指を組む。
「ダダンさんと神様に感謝のお祈りをしなきゃ」
「アー……良いから寝るぞ。お前体調崩してたろ」
「おれルフィを部屋に連れてくな。こいつもう寝てる」
サボはぐにゃぐにゃのルフィを──本当に、物理的にぐにゃっとしているように見えるのは気のせいだろうか……──を引きずり先を歩く。もう既に勝手知ったる我が家といった振る舞いに、山賊さん達も苦笑いで寝室を教えた。
私もエースに手を引かれるようにして、ダダンさんの家にお邪魔することになった。
四人で一部屋ではあるけれど、あの大樹の洞と同じぐらいの広さがあるので気にならない。やはり、ダダンさんにはお礼を言わなくては。
一足先に布団で寝ているルフィの隣にサボが。サボの隣にエース、そして一番ドアから離れた壁際に私が寝ることになった。
彼等の寝相でこの順番がいつまで持つかは疑問だが、恐らく私に気を使ってくれたのだろう。
知らない人の居る場所では、恐れが勝って眠れない。
一枚の大きな敷き布団に並んで横になれば、ドア側のルフィからすぐに大きなイビキが聞こえてきた。
乾いた空気が何処からか流れてくる。身体が徐々に床へと沈んでいくような錯覚で、自分の体調の悪さを思い出した。
「ゴホッ、ゴホッ……」
「……寒いか」
「ん、……大丈夫。ごめんね、うるさかった?」
「良い」
やはりあれだけ泣き喚きもしたら喉の一つや二つ痛めて当然だろう。
思い出せば自分でも引くぐらい泣いてしまった。
しかもエースの頬をつねったり、ルフィの……小さい子の顔を鷲掴んだりと、相当暴れて。どちらが幼い子供か分からないぐらいだ。
……思い返すと恥ずかしくなってきて、頭を抱えた。
私は掛布団代わりの布に顔を隠しながら、こっそりとエースの方を見る。暗闇の中目が合う。
「……エース、ほっぺ、痛い?」
「お前の力でおれがどうこうなるわけないだろ」
「それは、まぁ、そうかもしれないけど……」
自身の貧弱さが身に染みているとはいえ、此処までバッサリと切られるとどうにも腑に落ちない。爪だって立ててしまっているし、加減だってしなかった。
これでも野生化して4年以上は経っているのに。二人には負けるだろうけれど、そこそこ力もついた。はずだ。
微妙に納得のいかない気持ちを隠さずにぶすくれていると、エースは何を思ったのか自分の分の布団を私にかけた。
「エース……?風邪引いちゃうよ」
「なまえじゃねェんだ、引かねェよ。良いから、寝ろ。……ほら」
そう言ってそろりとエースは私に手を差し出した。
これは、手を繋いで寝ようということだろうか。
まじまじと彼の手を見たまま一向に手を伸ばさない私に焦れたのか、エースはズボッと私の布団へ手を差し込んだ。
私が目を丸くしている間にも手が絡めとられる。暖かくて、かさついた指先が私の右手に触れた。
「ふふ。 おやすみ、エース」
サボやルフィを起こさないように小声で告げると、エースはフン、と一つ鼻を鳴らした。
これが彼なりの挨拶なのだろうか。私は固いエースの手のひらを両手でぎゅう、と握って、目を閉じた。
神様、今度からエースやサボ達に何かあったときは、もっと早く"教えて"くださいね。
祈りつつ眠ったが、夢は見なかった。
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「あ、あの、私、なまえと申します。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします」
ペコリと頭を下げると、大柄な女山賊──ダダンさんはびくりと狼狽えたようだった。
「ほ、本当に迷惑ったらありゃしないよ!!うちでは面倒見ないからね!!ショバ貸してやるんだ、自分達でなんとかやんな!!」
シスター服のせいなのか、背中の翼のせいなのか、はたまた言葉遣いのせいなのか。もしくはそれら全てか。
ダダンさんは私をじろりと見てそう言うと、ずかずかと部屋へ戻っていった。
「わぁ……ダダンさんって優しいんだねぇ」
「お前ダダンの言葉聞いてたか?」
白けた顔で私を見るエースとサボ。
此方に危害を加えず寝場所を貸してくれるだけでも、充分親切だと思うけど。グレイターミナルで寝ようと思ったら二度と目が覚めない可能性を考慮しなくてはならないし。いや、私の場合は気がついたら檻の中、かも。
そもそもエースが私を連れて来たことが一番の安心材料なのだ。サボもエースも心配性なので、私が危なくなるような場所へは連れて来ないだろう。恐らく。きっと。
そんなような内容をかいつまんで二人に伝えると、二人の顔はますますひしゃげた。何でよ。
泣きすぎて重たくなっている頭を軽く降ると、瞼をなんとか持ち上げ、指を組む。
「ダダンさんと神様に感謝のお祈りをしなきゃ」
「アー……良いから寝るぞ。お前体調崩してたろ」
「おれルフィを部屋に連れてくな。こいつもう寝てる」
サボはぐにゃぐにゃのルフィを──本当に、物理的にぐにゃっとしているように見えるのは気のせいだろうか……──を引きずり先を歩く。もう既に勝手知ったる我が家といった振る舞いに、山賊さん達も苦笑いで寝室を教えた。
私もエースに手を引かれるようにして、ダダンさんの家にお邪魔することになった。
四人で一部屋ではあるけれど、あの大樹の洞と同じぐらいの広さがあるので気にならない。やはり、ダダンさんにはお礼を言わなくては。
一足先に布団で寝ているルフィの隣にサボが。サボの隣にエース、そして一番ドアから離れた壁際に私が寝ることになった。
彼等の寝相でこの順番がいつまで持つかは疑問だが、恐らく私に気を使ってくれたのだろう。
知らない人の居る場所では、恐れが勝って眠れない。
一枚の大きな敷き布団に並んで横になれば、ドア側のルフィからすぐに大きなイビキが聞こえてきた。
乾いた空気が何処からか流れてくる。身体が徐々に床へと沈んでいくような錯覚で、自分の体調の悪さを思い出した。
「ゴホッ、ゴホッ……」
「……寒いか」
「ん、……大丈夫。ごめんね、うるさかった?」
「良い」
やはりあれだけ泣き喚きもしたら喉の一つや二つ痛めて当然だろう。
思い出せば自分でも引くぐらい泣いてしまった。
しかもエースの頬をつねったり、ルフィの……小さい子の顔を鷲掴んだりと、相当暴れて。どちらが幼い子供か分からないぐらいだ。
……思い返すと恥ずかしくなってきて、頭を抱えた。
私は掛布団代わりの布に顔を隠しながら、こっそりとエースの方を見る。暗闇の中目が合う。
「……エース、ほっぺ、痛い?」
「お前の力でおれがどうこうなるわけないだろ」
「それは、まぁ、そうかもしれないけど……」
自身の貧弱さが身に染みているとはいえ、此処までバッサリと切られるとどうにも腑に落ちない。爪だって立ててしまっているし、加減だってしなかった。
これでも野生化して4年以上は経っているのに。二人には負けるだろうけれど、そこそこ力もついた。はずだ。
微妙に納得のいかない気持ちを隠さずにぶすくれていると、エースは何を思ったのか自分の分の布団を私にかけた。
「エース……?風邪引いちゃうよ」
「なまえじゃねェんだ、引かねェよ。良いから、寝ろ。……ほら」
そう言ってそろりとエースは私に手を差し出した。
これは、手を繋いで寝ようということだろうか。
まじまじと彼の手を見たまま一向に手を伸ばさない私に焦れたのか、エースはズボッと私の布団へ手を差し込んだ。
私が目を丸くしている間にも手が絡めとられる。暖かくて、かさついた指先が私の右手に触れた。
「ふふ。 おやすみ、エース」
サボやルフィを起こさないように小声で告げると、エースはフン、と一つ鼻を鳴らした。
これが彼なりの挨拶なのだろうか。私は固いエースの手のひらを両手でぎゅう、と握って、目を閉じた。
神様、今度からエースやサボ達に何かあったときは、もっと早く"教えて"くださいね。
祈りつつ眠ったが、夢は見なかった。