03 あくまと手をくむ



「……エネル、それ」

 リンゴやらバナナやら。大量の果物に囲まれるようにしてだらけるエネルの手には、何とも奇妙な模様の付いた果物が。出オチかよお前。俺は扉に手をかけたまま、目を丸くして彼を凝視した。

「うむ、悪魔の実だ」

 そういうと、彼は無造作に俺へと何かを山なりに投げる。危なげもなくそれをキャッチしてみれば、そこには悪魔の実がもう一つ。エネルが持っているものがバナナに似ているとしたら、此方はリンゴに似ていた。
 えええええ。二つあんの?これどっちが雷よ?俺が雷の方食べちゃったら未来変わるんじゃねーの?いや変わって貰っても全然構わないんだけどさ??

「ヤハハハ、驚いたか!」
「そりゃあ、驚いたよ」
「そうだろうとも、そうだろうとも!お前には秘密にしておけと周囲にも散々言っておいたからな」

 エネルはご機嫌にそう言うと、止める間もなく、悪魔の実を口にした。

「アッ!!?お、おま、おまえ!?」
「ごくん……誰に向かってお前だなどと言っている?ゲイアも食え」

 そう言われて俺は慌てて手元にある果物を見た。この世の物とは思えないまずさだと聞いているが、エネルは顔を顰めているだけでどうにも普通の様子だ。というか、まだ実の影響が出ていない。
 早く食え、と急かすエネルに俺は生唾を呑んだ。これがゴロゴロの実だったらどうしよう。いやもうエネルは一つ食べちゃってるから、これがゴロゴロだとしても俺が食べる以外の選択肢は無いんだけども!

「……ゲイア?まさか食うのが嫌なのか?」

 この私が食べたのに?という副音声が聞こえて、慌てて俺は手元にある実を口に入れた。

「……まっっず!?ううぇ、なにこれ!?エネルよくそんな普通の顔して……おぇえ」
「!?汚っ!不敬だぞ兄上!私の部屋で吐くんじゃァないぞ!!」
「いや吐かないけどね!?まっずいよこれ!?」

 一口齧っただけでこのまずさ。エネルが慌てたように身を起こし、あまりに咽る俺を心配したのか近寄ってくる。にょきっと伸びた身長は既に2メートルはあるだろう。俺と同じ身長ではあるけれど、筋肉量の差で彼のほうが大きく見えた。くそう、何故だ。俺も同じだけ訓練を積んでいたはずなのに。
 エネルは俺の背を叩こうと手を伸ばし――

 ――その手は空を切った。

「……へ?」

 俺の身体を通り抜けていった手を見て、おれは間抜けにも口を開ける。

「ふむ、やはりロギアか!こればかりは時の運であったからな」
「え、あ……なに?エネル、これ何の実だったの?」
「フン、普通は食う前に聞くものだ。まぁ私も確信があったわけではないが……」

 エネルは右手の親指と人差し指で小さな円を作ると、指と指の間にビリビリと電気を流した。それを見て満足そうに頷く。

「ゴロゴロの実と、エアエアの実だ」






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