memo

▼2023/03/12:掌に載るくらいの幸福が、一番嬉しい

先日、職場の店にいらしたお客様への接客がとても良かったそうで、お客様からお褒めの言葉が書かれたお手紙をいただいた。これはうちの会社でもそんなに滅多にある事ではなく、名指しでお褒めの言葉をいただいたのはこれが初めてだ。
そのお客様の接客を行なっていたのは副店長に当たる先輩の社員さんで、彼女以外に出来ない急な業務が発生したので接客を代わったのだ。詳しい事は書けないが、お客様は副店長の先輩と私の接客に感動してくださったそうで、手書きのお手紙を贈ってくださったのである。休み明けに出勤して先輩社員の一人がニコニコしながら「矢野さん、聞いた?」と仰るので、何のことかわからず「何かあったんですか?」と問えばお手紙の件を初めて知った。そのお客様の事は私も覚えていたので、直ぐに会話の内容を思い出した。うちの店では珍しいタイプのお客様だったのもある。でも、まさかこんなに良く思っていてくださったとは思わなかったのも事実である。私はいつも通り(と言って良いのかは分からないが)接客をしただけだったからだ。私は普段、お客様には『ご来店くださっただけで感謝!』みたいなスタンスで接客をしている。そして私自身が接客を受けるのが好きな客側でもあるので、お客様が何か訊きたそうだったら積極的に話しかけるタイプだ。勿論お客様の気持ちが読み取れず失敗する事も多いが、だからと言って接客が嫌になる事は不思議と無い。『次はこんな風に話しかけるタイミングを計ってみよう』とか『お客様がこの動作をされたら、話しかけても良さそうだ』と学びを重ねる事は純粋に楽しい。この職場に採用されて、そして他の職場に採用されなくて良かったと思うことしきりである。
お褒めのお手紙の件は上(主に本社と社長、役員の皆様)にも伝えられるらしく、恐らくは今月のお客様からの声に私の実名付きで載せられるとの事だ。店長にも滅茶苦茶褒められたし、副店長には『上に報告するからその時の会話の内容を教えてほしい』と言われた。聞くところによると、こんな出来事はそうそう無いらしい。人は自分が客側の時、嬉しい対応をされるよりも嫌な対応をされる方が記憶に残る。嬉しい対応をされたとしても、こうして自分の限られた時間を使って手書きで一筆書いてくれるなんて、本当にそうそう無いし、おまけに郵便料金まで支払ってくださったのだ。

あの時のお客様へ。本当に、ありがとうございます。あの時は私もとても楽しくお話しさせていただいてました。その上可愛らしい柄の手書きのお手紙までいただけて、この仕事をしていて良かったと心の底から思いました。これからもうちの店にいらしてください。またお話ししましょう。

と言う思いを伝えたくて仕方ない。私の仕事で喜んでくださる方がいらっしゃるのだと実感できた出来事だ。
それ以外にも、お客様と仲良くなるのが上手だと褒められたりラッピングが早くうまくなったと言われたり、お客様からのご要望をくみ取った提案をすれば『そんな事して貰っても良いんですか?』と驚かれたりする。時折精神的に落ち込んで就労継続支援事業所で話を聞いてもらう事もあるが、概ね楽しく働けている。環境と職場の皆と自分の努力に感謝だ。
少し前、接客や仕事の仕方に悩み就労継続支援事業所のスタッフさんに話を聞いてもらった際に言われたのだが、私は私が思っている以上に接客が出来ているらしい。こんな事を言われた。

「矢野さんは、自分がお客側の時に自分と同じくらいのレベルの接客を受けた事ある? あんまり無いでしょ?」

つまり、それだけ私は良い接客が出来ていると言いたかったらしい。確かに、私は私の中で自分がお客側ならこうされると嬉しい¢ホ応をするようにしている。それが間違いなパターンも無くは無いが、少なくとも悪い接客ではなかった筈だ。
私は未だ自分の理想とする販売員にはなれていない。私の理想の販売員は『お客様からのどんな要望にも適切な対応がサラッとできて、何事にも慌てずスマートに仕事をこなす店員』だ。しかし現実では直ぐにあたふたするし、分からない所が出てくれば慌てて調べて落ち着きが足りないし、つい声が大きくなる。
でも、それだけお客様の事を考えられるし、一生懸命仕事に取り組んでいるし、お客様からしたらとても親身な店員なんだそうだ。このまま成長を続ければ『親身で一生懸命だけど、スマートな対応ができる販売員』を目指せる。過去を振り返ればいつ死んでもおかしくなかった頃もあった。それでも今はお客様から褒めていただけるくらいには成長出来ている。これは自分の事を褒めても良いんじゃないだろうか。
以前の職場では『貴方は接客に向いてない。事務職を目指した方が良い』と直属の上長に言われた事もあった。薬局長、貴方の方が間違っていたみたいですよ、と言ってやれる店員でいられるよう、今日も接客振り返りノートを開き、ボールペンを握るのだ。


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