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クラスメート達から離れ校内へと赴いた笹川は思案していた。

昨夜見た小柄な教師は多分自分達三年に関係ある教師ではなさそうだ。
何故なら、笹川が三年間の在学中に見た事のない初めて見る顔なのである。

全校集会などには顔を出してるが正直教師の顔など面倒なので一々覚えていない。

本来ならば三年の担当教科を受け持っていれば何処かしらで見かける事もあるのだろうが笹川が記憶するところ特にない。

しかも、前回ぶつかった場所は考えてみれば一年と二年のクラスの近くだった事を思い出す。とやはり一年か二年の担当なんだろう。

笹川は立ち止まり、少し考えた後とりあえず職員室へと向かっていた足を方向転換し保健室へと向かいはじめた。

志免がよく喧嘩やらで怪我をする為、保健室には世話になっていたのだ。
保健医の金崎ならばその教師の事がわかるのではないか。
流石に同じ学校の教師の事を知らない事はないだろう。笹川はそう考えたいたのだ。








目的の保健室に着いた笹川は静かに扉を開く。
保健室を使うのは何も志免のような怪我人ばかりではない。
気分が悪い者たちも使っているかもしれない事を考慮して笹川は敢えて静かに入室したのだ。

しかしいつも座っている筈の頼みの保健医はそこに姿は無く、笹川は落胆する。


「キリ...てば、お...ちょ...い」


ふと近くのベッドからした声に誰かの存在を確認した。
誰かいるのであるならば少しだけ保健医の居場所を聞いてもよいかと思い、様子を見ようと白いカーテンを静かに開ける。

「.....」

そこには、同じ制服を着た男がベッドから上半身起こしていた男を覆うように顔を近づけていた。

更に少しだけ視線の角度を変えればチラリと見えた覆われている方の顔は眼鏡はかけていないが紛れもなく自分が探していた小柄な教師で、前に見た時より頬に赤みがあり、その口元が少しだけ濡れている事に気付く。

「...みつけた」

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