一緒に週末にお出かけした日の夜に不死川さんから連絡がきた。
明日から長期で出張だと。最近物騒だからもしもの時はこいつに、と違う電話番号が。
心配性だなぁと思いながらも、その配慮に何故かほっこりした。
お兄ちゃんがいたらこんな感じなんだろうな…。



 代わりのお巡りさん  10   



出勤前。姿見をみて全体を確認する。よし。今日は大丈夫。
この前はボタン掛け間違えていたもので。
「ちゃんと確認しろォ…」
気づいたのが不死川さんだった。我ながら恥ずかしい…
少し早めに家をでると何やら外が騒がしい。何かあったかな?
普段通りエレベーターを降りてエントランスを出るとそこに一台のパトカー。
すれ違うマダムたちが「朝早くからいるのよね…」と言っていた。
まさかこのマンションに立てこもりでも!?!?
そう恐る恐る横を過ぎようとすると、



「あの。」


「はい!?」


窓から顔をだしたお巡りさんが一人。



「し、不死川さん!?!?」

驚いた。目つきはそれほど悪くない不死川さんが!


「兄貴は出張中なんすけど。」



よくよく見ると違う…兄貴?

「弟さんですが?」


まぁここで話すのもなんだからとパトカーに乗り込む。連行されてる気分…
マンションのマダムたちに噂されそう



「要するに不死川さんが不在の時は、不死川さんにと頼まれたってことでしょうか?」


「紛らわしいんで玄弥でいいっす。」


玄弥さんっていうんだ、年もは上そうだけど…




「兄貴からタケさんの送り迎えと警備をお願いされたんすよ。」

ななななんですって!?!?


「最近でる変質者も異質なんで」


「わざわざいいですよ!やばい時だけ電話させてください…」
不死川さんもそうだったんで…同じようにと説得してみた。
それにパトカーで送り迎えなんて滅相もないしとんでもない。


運転しながら玄弥さんはしばらく考えていた。
うーん。うーん、と言っている。

「・・・・それを怠ると兄貴が怖ェんすよ。」


はああああぁぁあーっと大きなため息。


それが嫌なんでさせてください、と頭をさげる玄弥さんに戸惑いを隠せなかった。
でも玄弥さんに毎日来てもらうのもかわいそうだし、
怒りマックスな不死川さんも怖いし…


と二人で悶々としている間に職場付近についてしまった。



「まぁ、永遠と続くわけじゃないんで、兄貴帰ってくる前までなんで。よろしくっす」

そう困ったように笑う玄弥さんは不死川さんそっくりだ。



「わかりました!玄弥さんの生存もかかってるわけですから、よろしくお願いします。」
二人でパトカー内で深々と頭を下げる。


「同じ年なんで、敬語もいらないっすよ。」


そうなんだ!不死川さんとそっくりだけど柔らかさがあるというか、ちょっとしゃべりやすい。
また夜に、そういってパトカーはいなくなった。
職場の人にみられたらと、少し離れたところでおろしてくれた。
気が利くなぁ…


その日から玄弥さんの送迎が始まった。



End




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