ガチャ、とタイミングよくドアがあいた。今日は燃えるごみの日。両手にそこそこのごみを抱えでる。
するとちょうど昨日帰ったであろう不死川さんもでてきた。



「お久しぶりです」
「おー」


久しぶりに会った不死川さん。少し疲れてる様子。というより不機嫌?
お互いに出す予定のゴミを持ちながらエレベーターに乗った。



 隣のお巡りさん  12   





エレベーターに乗ってる最中は緊張して何もしゃべれなかった。
話しかけるなオーラというかなんというか。
でも、お礼を言わねば。。



「色々と、ありがとうございました、おかげで危険なこともなく過ごせました」




長い沈黙の末、一応言えた!

不死川さんの計らいで毎日安心して通勤できた、玄弥さんは優しくていつも丁寧に接してくれた。
ちょっと苦手な宇随さんも煉獄さんとも、楽しい時間が過ごせて。
何より女のお友達ができた!密璃さんは可愛くて、話しやすい。お姉さんみたいで友達になれて嬉しかった。
全部不死川さんのお陰だ。


「この前も、、」

「弟と、随分仲が良くなったみたいだなァ…」



仲良くなった!うん、よくしてもらった!


「はい!それはもう…」


と嬉しかったことを早く話したくて話したくて切り出そうとした瞬間、不死川さんの顔をパッと見上げた。

ひええ!

すっごく不機嫌!こっわ!そんなに激務だったんだろうか…
やっぱりかわいそうな不死川さん…。


「えと、玄弥さんにはよくしてもらいました!送迎も毎日かかさず、気も利くし、優しいし!男性が苦手なのもわかってくれて…」

さっすが不死川さんの弟さんです!
と決め台詞を言い放ち、はたと止まる。



「玄弥さん…ね」

「え?」


「じゃぁ今度から玄弥に頼めよ。俺も忙しいんだよ…」


じゃぁな。
そう言い放ち去って行った。




部屋の前でぽつーんと取り残された。
え?何で怒らせちゃったの?私何か気に食わないことしちゃったかな…

とりあえず部屋に入る。
シャコシャコと歯磨きをしながら鏡をみると、泣きそうな自分。なんて顔をしてるんだ。




そりゃ不死川さんだって忙しいに違いない。長期の出張があるくらいだ。
この大都会での警察の仕事だって膨大なはず。
ただのストーカー被害の隣人に構ってる暇なんてない。
きっとほかにも私なんかより助けを求めて人はいるはずなんだ。
優しい不死川さんのことだ。妹さんのこともあって、気にしてくれていただけだ。
本来ならばここまでしないもんね。


いままでの普通のお隣さんになるだけなんだ。


不死川さんから、お隣さんに。
そうだったよ。特別な関係なんて無いんだから。
すべては不死川さんの気遣いなだけで。




ポロっと涙がでた。


「なんで・・・・」


ああ、そうか。思ったよりショックなんだ。







不死川さんとの関係が薄れてしまうことに。





このほとほとと悲しい感情は未熟な私には何かわからなくて。
ただひたすらに、重たい気持ちに押しつぶされそうだった。


何かをしてないと思い出してしまいそうで。
日々の仕事をこなすことで精いっぱいだった。


楽しい思い出の残るお隣さんの部屋のドアは、無機質なまま今日も開かない。


End




小説トップ


top