不死川さんが帰ってきてからも、玄弥さんの送迎はしばらく続いた。
もういいですよ、言うと、兄貴に怒られるんで、と困ったような顔。忙しいと言われたのに玄弥さんにはしっかり私のことお願いしてて。その優しさが逆に心に染みた。
隣のお巡りさん 13
「兄貴となんかあったんすか?」
しばらくの沈黙の末、玄弥さんが問いかける。この前の出来事を伝えると何やら青ざめていく。
「私何かしましたかね。。。」
身に覚えのない過去を振り返っても、思い当たることはない。
「あー・・・・ん〜、わかんないっすね…。」
「怒らせてしまったのかもと思って。」
差し入れのあんこの甘さ加減かな?
もしくは夜は遅くなるなと言われてるのに煉獄さんたちと飲んだからかなぁ。。不死川さんが不在のときの、記憶を絞り出してみるけど。
「いや、それはないと思います。」
二人でうーんうーんと話すも結局不死川さんしかわからないもんね。もしかしたら出張前の失態かもしれない。
「兄貴のあの傷、妹のストーカーを撃退したときについたのもあるんすよ。」
「え?」
「カッとなると抑えられないんすよ。昔っから。特に大事な人が傷つけられたりしたときは自分を顧みず突っかかっていくっていうか。ボッコボコにしたんすけど。相手が刃物持ってて」
刃物、と聞いたときにぞっとした。妹さんに向けられていたらと思うと怖すぎる。
でも刃物もってる人にも立ち向かっていったんだ。。怪我は痛々しさを物語る。
「自分のこと労わってほしいっすよ。厳しい訓練をして、家でもすごく鍛えてて。たぶん、強くなって大事な人を守れるようにって思ってんじゃないかな。」
警官になる!と言ったらやめとけって言われたんすけどね〜と苦笑い。
家族思いなのは感じていたから、不死川さんならそう言いそうだ。きっと、大事な人を危険に晒したり、傷つかないようにって思ってるんだ。
自分が怪我しても、大事な人が無事ならそれでいいんだ。きっと。
「兄貴が1人の相談者にここまでするなんてよっぽどなんで、タケさんのこと大事に思ってるとは思うんすよね。」
ポリポリと鼻をかきながら運転してる玄弥さんはどことなく不死川さんに似てた。
大事に思ってくれてるなんて、滅相もない。本当にありがたい気持ちだ。こんな私なんかに、、きっと妹さんに似てるかなんかだろう。
「・・・・そんなに妹さんに似てますか!?!?」
そういうと玄弥さんはすっごい苦笑いした。なんでかな?
もうあの角を曲がったらいつも下ろしてくれるところだ。いそいそとおりる準備をする。
「今日もありがとう」
お礼をいってお見送りを待つけどなかなか出さない。どうしたかな?
するとパトカーの窓が開いた。
「実弥っていうんす。兄貴。」
「うん?」
「俺は不死川でいいんで、兄貴そう呼んでみてやってくださいよ」
じゃ、と言うと颯爽と去って行った。実弥さんていうんだ、下の名前初めて聞いた。
なぜ今になって名前なのかは謎だけど。
実弥さん、実弥さん、とぶつぶつ呟いていると、職場の人に心配された。
その日の夜、玄弥さんには送迎を丁重にお断りした。毎日申し訳ないもんね、時間外だし。
不死川さんには断ったことを言わないでほしいと頼みたおした。責任感じてまた何するかもしれないから、なるべく迷惑はかけたくない。
最近犯人とは接触がないから、もしかしたらもうないかも。
あってもこれがある。と、カバンにつけてる防犯キーホルダー。
これをお守りにしている。
揺れて見えるたびに買い物の日を思い出して心がズキっとするけど…
いざとなったら鳴らすしかない。もし何かあっても自分でなんとかするしかない!と顔をパンパン叩いた。大丈夫だよ。大丈夫。
しばらくは平穏に過ごしていた。
すると、密璃さんからお茶のお誘いがきたので定食屋さんに向かう準備をした。
準備をし、鍵をかけてエントランスへ。
ふと自分のポストを見ると広告チラシとは別に、手紙が入っている。
(宛名もなし、、誰だろう?)
開けると数枚の私の写真が落ちてきた。
「え?」
そして紙切れにはこう一言。
“いつも見ているよ”
End
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