変だと思った。最近のタケ。この前までは普通だったのに、急によそよそしい。
というか様子がおかしい。

なんかしたか?

ガラにもなくため息をついた。



 すれ違うお二人さん 21⁺  



コーヒーを飲みながら携帯に目をやると、一通のメールが。
煉獄か、珍しいな。


【明日、伊黒のところで夕飯どうだ?】


もちろんOK。断る理由などない。
ちょうど冷蔵庫にも何もない。買いに行くのもだりィ…


【了解】
そう送るとすぐ時間の連絡がきた。
真面目だなあいつ。と思ったがマツだ。



驚いた、最近やりとりどころかまともに話してなかったしなァ…

タケから飯の誘いか…。

今週は明日しか都合つかねェな…。

煉獄とかぶっちまったしな。
断る…か…?
いつもなら先に誘いのきた煉獄の予定を優先する。当然だ。
なのに、何故かさっさと断れない。

タケに会えると思うと悪くないと思う自分がいた。
俺、頭おかしいんじゃねェか?

「チっ…」


電話した相手は煉獄。ワンコールで出やがった。


【どうした不死川!】
相変わらずクソでかボイスが耳にくるぜ…
【おー…明日なんだけどよォ…。】



****




「悪かったな」

「問題ない!俺も今日は休みだった!不死川は仕事だったのか?」
「早めに終わったんだよ」


時刻は夕方。
早めに煉獄と合流して時間になったらタケの待ち合わせに行くつもりだ。いわゆる0次会。

暖簾をくぐると甘露寺が出てきた。
「いらっしゃ〜い!みんな待ってたのよ〜!」
「まったくお前らは俺たちの都合も聞かないでこんなに早くからくるとは迷惑極まりない…」
時間外だったからか、伊黒がクソ不機嫌。
奥の座敷に通された。
「俺たちはカウンターで」
そう言いかけたら奥から何やらわいわいと聞こえてきた。
「よ〜!不死川、なんか面白ぇことになってんだってな?」
にやにやしながら酒を飲んでいる。面倒なやつがいた。一人で。
「宇随てめェなんでいやがる…」
「偶然だよ偶然!」
思わず煉獄を睨みつけたがにこにこしている。本当に偶然かァ?

適当に軽く頼んでとりあえず一杯。後があるからな。







「で。キスはもうしたのかよ」」
ブーーーーーーーーーーっっと噴き出す二人。
言わずもがな俺と煉獄。
「バカ言ってんじゃねェクソがァ!!!」
「ほーう。その調子だとなんも進んでねぇんだな。」
「進むとはなんだ!」

3人でぎゃあぎゃあ言ってると奥から伊黒夫妻が顔を出した。

「どーもこーもねェよ。あいつ最近変なんだよ。」
タケの様子をボツボツと話すとさらににやにやしてる宇随。気持ち悪ィ。
「タケちゃんは照れてると思うわぁ!」
キャーーーっと言ってる甘露寺は心底煩い。伊黒には言わないが。

「ってことはこの後タケと会うのか?そんな格好で?」
宇随に上から下までじとーーっと見られる。
着替えてくる暇なかったからよ。
「おまえなぁ…初デートなのに気合入れろよな」
またまた噴き出しそうになった。



「「こんにちは〜!」」
「この声はカナエちゃん!」



また胡蝶か…。


「俺は帰るぜェ…」
「ちょっとまてよ、タケに会うんだろ?もうちょっと良い格好して行けよ。フレンチとか連れてったら女はイチコロだろ?」
そうなのか?まぁ人並みにモテる宇随だ。少しは信憑性がある。
確かに仕事上がりでシャツにスラックス。本当は風呂も入りたかった。
「タケのこと好きなんだろ?気合いれてけよ、なんなら俺が見立ててやろうか」
派手派手になぁー!とジョッキでビールを飲んでいる。

「聞いたわよ〜、不死川君、デートなんですって〜?」
「胡蝶。そんなんじゃねェ…」
「おい!不死川、今日のデートは断れ!日を改めろ!俺が最高のデートコース仕組んでやっからよ!」
「あ、テメ…」
俺の携帯を取り上げて勝手にタケに電話を掛けていた。
あいつならすぐ電話に出る。



「…わりィ…急用が入った…」


はぁー…とため息。伊黒も苦笑いしている。

****






そのあとは宇随のせいでどんちゃん騒ぎ。
俺は飲む気にもなれず気づかれないように店を出た。
ナリなんて気にしねェ…。いつも動きやすい格好だ。
私服なんてそんなに持ってないしな…。
けど引っかかる宇随の言葉。

“もうちょっと良い格好して行けよ”

「あーー…クソがァ…」


タケのこととなると調子が狂うぜェ…



「不死川君!」

カナエも出てきたらしく、走ってきた。

「私が選んであげるわよ!服!」
「あ“?関係ねェ…」
「嘘。少しは気にしてたでしょ。なんでもお見通しだよ〜」
くすくすと笑う胡蝶は楽しそうだ。
「女心をくすぐるには女に聞くのが一番よ?」
「・・・・」
「決まりね!最近できたところに今から行ってみましょう〜!」


そう行って向かった先は大きなショッピングモール。
普段着ないような服を持ってきちゃぁ着せ替えられどっと疲れた。

「不死川君は細身だけどがっちりしてるから…」

楽しそうに服を選んでいる胡蝶に帰りたいとは言えず、結局飯まで食って帰ってきた。


選んだのは細身のチノパンにしゃれたシャツ。靴も新調した。
いつもパーカーとかだしなァ…。


これを着ていけば、フレンチでも居酒屋でも通用するらしい。よくわからないが。



「必ず成功させてね!」


胡蝶を見送って自分も帰ってきた。
初めて入った店で買った紙袋が2つ。
早々と中身を出してハンガーにかけた。

少し酒が入ってるからか、疲れがどっと来る。


タケになんて言おうか…


埋め合わせのメールを送ろうとするも疲れて眠ってしまった。





胡蝶といるところを目撃されているとも知らず。



End





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