ガチャ、とドアが開く。
こういう時に限ってタイミングが…気まずい。
挨拶をする気にもなれずとりあえず会釈。きっとこれでいい。
隣のお巡りさん 22
「はよ」
「おはようございます。」
エレベーターで一緒になるも会話無し。
実弥さんが好きなんだって気づいたけど、もう終わったことだ。
これからは引きずらないように距離を取ればいい。
「この前は悪かったな。」
ぼりぼりと頭を掻きながら話してきた。チラと横顔を見る。
ああ、キュンとしてしまう。
彼女がいるのにごめんなさい。
「いいですよ、私もまだ家でしたし…」
「それにしては随分と騒がしかったけどなァ…」
うっ!バレてる!さすが警察官
「テレビです!」
心苦しい言い訳。
自分こそ彼女さんといたくせに。。
エレベーターが一階についた。
重たいゴミをサっと実弥さんにとられる。
「汚れますよ!」
「重いだろ。」
3つのゴミをズカズカとゴミステーションに持っていく後ろ姿を呆然と見ていた。
今までだってこんなことはあった。
ゴミ捨て一緒になったり。
でも持ってくれなかった。
なんで?
「なんて顔してんだァ?」
向こうから歩いてくる実弥さんを見るとまた、くつくつと笑っている。
たまに見せる、私の好きな顔。
「どうした?難しいツラしてんなァ…」
「別に…!!」
ポンポンと頭をたたかれる。ごつごつとした優しい手で。
こんなの不意打ちだ。
「―――ッ!!」
「あ?まだ熱でもあんのかァ?」
優しくしないで、近づかないで。
傷つきなくない、だって胡蝶さんとお似合いだったもの。
「タケ?」
名前を、、呼ばないで…。
顔、覗き込まないで…
早く部屋にもどりたい。だって顔見られたくない。
真っ赤だもん。
私ばっかり振り回されてずるい。
何も言えずそのまま走って帰ろうと足を進めた時だった。
「あ、おい!ちょっと待てって」
ガシっと手を掴まれた。
手!握られた!!恥ずかしい!
振りほどこうにも力にはかなわず。
「あーーーー…埋め合わせしたいんだけどよ…いつがいいか?」
埋め、、合わせ?
何言ってんだこの人…
「忙しいかァ…?」
彼女と行けばいいじゃん。悲しくなるよ…。
「埋め合わせは結構です!彼女さんと行ってください!」
涙がでそう、近いし辛いし恥ずかしいし。
ぐちゃぐちゃ。
「は?」
は?じゃなーーーーーい!と叫びたい
ノロケとかされたら辛い。
「さ」
「さ?」
「実弥さんなんて玉ねぎで目が染みてしまえー!」
わああっと振りほどいて急いで自室へ向かった。
(彼女いるのにあんな近づき方反則だって!)
天然の女たらしだろうか…
掴まれた手がまだ熱い。
****
「ってことがあったんですよぉぉ」
やっぱり駆け付けた、密璃さんの定食屋さん。
夫婦二人してあんぐりと絶句している。
「ちょっと落ち着きましょう?タケちゃん?色々と誤解しているわ?」
「どこが誤解なんですかぁぁ」
伊黒さんなんて絶句してから動かない。
「だから宇随が絡むと面倒だと思ったんだ。あいつはかき混ぜて面白がってるところがあるからな。。たちが悪い。不死川がこのままではかわいそうだ」
「へ?宇随さん?」
「そうね…話してもいいかしら、この前のこと」
暖かいお茶を持ってきてくれた密璃さん。対面だと可愛すぎて恥ずかしくなっちゃう。
「あのね、、、、」
密璃さんに聞いて驚いた。
「だからタケちゃんが思っているようなことではなくて、むしろ逆なの…不死川さん不器用だから。誤解されやすいかもしれないけどタケちゃんのこと大事に思っているわよ」
なだめるように語りかけてくれる。
胡蝶さんのことも誤解して悪かったなぁ‥きっといい人なんだ。
不死川さんのことよくわかってるんだ。
もやもや、と同時にサアアと血の気が引いた。。
「わ、わたしなんてことを…言っちゃったんだ…」
玉ねぎで目が染みてしまえ、なんて
きっと今ごろお怒りのはずだ・・怖い
「早く誤解を解いた方がいいわ!」
いつもなら談笑して帰るのに今日は帰された。
「早く不死川に会ってこい。じゃないと報われない」
報われない?
よくわからないけど、今度宇随さんに会ったら一回だけつねらせてもらおう。
それくらい許されるはず。
(早く会って謝らなきゃ…)
何故か足どりは軽かった。怒られるかもしれないけど早く会いたいと思った。
【話したいことがあります】
そうメールして足早に向かう。
返事はこないかもしれない、でも伝えよう。
自分の気持ちを。
もうすぐつく、というところだぱた、と足が止まる。
「あいつ・・・」
久しぶりに見た犯人。きっとそうだ。
偽の犯人は捕まってるはず。本物の真犯人な気がする。
決まって夜。この前も、前の家でもそうだった。
恐怖で逃げていたけど何故かこの日は怒りのほうが勝っていて。
一言いってやりたいと思っていた時にはもう遅かった。
口が勝手に開いていた
「なんでこんなことするの?」
丸腰だ。何もない。持ってるのはあのビービーなるやつだけ。
それでも我慢できなかった。
End
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