好きだ、と言われてとても驚いた。
と同時に顔が赤くなっていくのが自分でもわかった。


もしかして、と思ったこともあったけど自分に自信がなくて。
実弥さんみたいな強くてかっこいい人が私のことなんてって。


一瞬思考停止するも返事はもう決まっている。


「私も、実弥さんが好きです…」


そう伝え、実弥さんの顔をみるととびきりの笑顔。
初めて見た、穏やかな柔らかい表情。


「もう離さない」


ぎゅっと抱き寄せられた背中は大きくて、私はひたすら実弥さんの体温を感じていた。


 隣のお巡りさん  24  




「実弥さん、これはどこですか?」
「自分でやるから座ってろォ」
「怪我してるんですから!ゆっくりしてください!」

それから数日たって実弥さんは退院した。
怪我は随分よくなったみたいで、痛み止めのみ薬が処方されてる。

私はというと、退院してから数日は会社に休みをもらって実弥さんの身の回りの手伝いをしにきている。
うちに来てもらった方がいいけど、まだお泊りとかはちょっと気恥ずかしいというか…


実弥さんの家に来てわかったことがある。
意外と綺麗好き(失礼)
そしてこまやかだ。物も最低限でシンプルに使っている。
実弥さんの下着を片付けようと手に取ると何故か照れる。
いそいそと洗濯物をしまい、ご飯の準備にとりかかる。
まだ準備するのは早いのに、何かしていないと恥ずかしすぎてもたない。

実弥さんから好き、と言われ晴れて結ばれた私たちなんだけど‥‥
いつも通りにと思えば思うほど意識してしまう。
沈まれ私の心臓!

ちら、と実弥さんを見ると頬杖ついてこちらを見ている。
いちいちかっこいい。
ふい、と目をそらす。はぁ、なんで可愛くないんだ私。

「タケ」
「ひゃぁ!」

突然に後ろからぎゅっとされた。しまった後ろをとられた。

ぽと、と持っていた人参を落とす。
「そんな慌てなくても一日中いるんだからよォ…座らなねェか?」
「は、はい…」
ちちち近い!近いよおおお!
きっと耳まで真っ赤だ。

「ばァか。なんもしねェよ」

振り向くとくつくつと笑っていた。私で遊んでるな?

「もう、あんまりからかわないでください!」

するりと抱きしめられていた腕をかわし、ケトルからコーヒーにお湯を注ぐ。
買ってきたお菓子も一緒に。

ポンポンとソファの横に手を置く。
「ん」
横に座れということか
「お邪魔します…」
ほっと一息のコーヒーなのにそわそわしてしまう。
隣が気になりすぎるのに見れない。


「犯人に、好きなやつがいるって言ったんだってなァ」
「え!!それは、、、言いました…けど」
「誰なんだァ?」


バッと横を向くとまぁたいじわるそうに笑っている。

「そんなの、分かってますよね…」
「誰なんだ?言ってみろォ…」

ぎゅっと手を握られて下から覗かれる。顔見られたらやばい。

じりじりと顔が近づいてくる。

「さ、実弥さんに決まっ…んっ…!」


突然のキス。
触れるだけの優しい。


「―――――っ!!!」
「なんてツラしてんだァ」
「それは実弥さんが急に!!」

またじっと見つめられる。
サラサラとした銀色の髪の毛から見える目は鋭くて目が離せない。


「キス、してェ…」


そういってギラギラ見つめてくる。
それとは半面優しいキスが何度も降ってきた。
何度も何度も。

私は実弥さんのシャツをぎゅっと掴んでひたすらそのふわふわとした感覚に身をゆだねていた。
始まったばかりの二人。
これからなのに、最初からこうでは心臓もたない。困った。かっこよすぎる。

「――ふっ」
息が続かなくて、というか私へたくそなのかも。

「あーーーわりィ…」


くた、と実弥さんの肩に頭をゆだねる。


「実弥さんのすけべ。」
「男だからなァ。しょうがねェ」


くつくつと笑いながら頭をぽんぽんとされる。
私はこれがとても好き。



実弥さんとの初めてのキスは、ほろ苦くてとても甘いコーヒーの味がした。


End





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