実弥さんとの日常は今までとはさほど変わらなくて。
夕飯はだいたい一緒に食べるようになったかな?休日も買い物に行ったり。
毎日毎日幸せなんだけど…
必ず帰れっていう。
うちに来ても帰るし…
もう泊まってしまってもいいのかなって、でも自分から言い出せず…
はしたないって思われないかなって怖い。
物足りないわけじゃない。いっぱい幸せなのに
少し寂しい
彼氏のお巡りさん 26
「雨、ひどいなぁ…」
ザアアーザアアーと雨は地面を叩きつける。
帰りに大雨って最悪だ!濡れるじゃん!
今日は終日雨、夜は荒れた天気になるらしい。
憂鬱。
傘をさしてバス停まで歩き出す。
待ち時間まで少しあるからコンビニで時間つぶそう。
少し濡れた足をふいて、コンビニに向かう。拭いたってすぐ濡れるのに。
急いでいる最中に電話が鳴った。
「もしもし!」
【おーお疲れ。今どこにいる?雨が酷いからなァ…迎えに行く】
「そんな!わざわざ大丈夫ですよ!」
【風邪ひいちまうぞ?黙って場所教えろォ…】
「・・・・ありがとうございます。」
場所を教えるとすぐ電話を切られた。
何か飲み物と、少しつまめるものを掴んでレジへと急ぐ。
****
「今日はカレーですか!いい匂い〜」
「たいしたやつじゃねェぞ。」
「実弥さん何気に料理上手ですよね」
「あーーわかったから早く風呂いってこい。風邪ひくぞ」
ほら、と実弥さんのTシャツと短パンを渡される。
「取りに帰りますから!」
「んなめんどくせェことはいいから」
本当はいったん帰って風呂に入って少し薄化粧したい。
すっぴんは恥ずかしいんだけど…
あんまり化粧してないほうが好きみたいで。もう晒してしまった。
抵抗はあったけど、ぎゅっとしてくれるからもう降参です。
Tシャツはぶかぶかだけど短パンは割りと細身なんだ。。
彼氏の服を纏った自分をみてちょっと照れる。実弥さんの匂い。。へへへ
は、また変態がでた。
「お風呂ありがとうございました」
ドライヤーをもって出てきた私をみて固まっている。
「……破壊力抜群だな」
「え?聞こえな…」
「なんでもねェ」
ラフな格好にお玉持っている実弥さんのビジュアルが凄い。
ささっとドライヤーを済ませてリビングへと向かう。
ああ、お腹すいた…
「いただきます」
「おー食え食え」
「おいしい〜!」
今日はひき肉のカレーとサラダ。もりもりと盛られたサラダは豪快なのにカレーはとってもスパイシーで繊細な味がする。
「ビール飲むか?」
「今日はお茶で…」
「あ゛?珍しいな、どうした?具合でも悪ィか?」
体温計を取りに席を立とうとしたけどそうじゃない。
マンションの部屋からも聞こえる、外の豪雨。
さっきより強まってきた。
「ご馳走様でした!今日はもう帰ります…」
お皿を運んで洗おうとした、その時だった。
ピカッと外が光り、ゴロゴロゴロ…と鈍い音がする。
「雷か。近ェな…」
「そ、、うですね」
「…タケ?」
また、外が光る。
「ぎゃああああ!」
としゃがみこんだ。怖い。雷。
「雷、苦手なんです…いつも布団かぶってるんです…ほらまた光った!」
咄嗟にしゃがんで机の下にもぐった私を見下ろす実弥さんの顔が見れない。
きっと呆けているはずだ。
「だだだっだから今日はもう帰ります、、」
「・・・ちょっとこっち来い」
机の下に隠れている私を見ながらにやにやしてる。
「え?わ、」
「まぁ座れよ」
ソファに座った実弥さんの前に座らされて、後ろからぎゅっとされる。
わ、わ、わー!!!これはこれで…
「心臓もたない…」
「なんか言ったかァ?」
「いえ、べつに!あの、ちょっと恥ずかしいです」
「じゃ、こっち向くかァ?」
そっちの方が駄目かもしれない。
ぽすっと首に顔をうずめられる。
サラサラの髪の毛があたってくすぐったい。
「ちょ…!」
「黙ってろォ…」
首元に少し息がかかる。そしてすぐ暖かいものが。
「実弥さ…!」
「ん?」
何度も首に、うなじにキスをされる。肩やらどこそこ。
ん?じゃなーい!
「もう!」
と体を離して顔を見ると、いじわるそうな顔してる。
「やっとこっち向いたな」
「んっ…」
雷よりも、実弥さんのことでいっぱいいっぱいで。
ときおり漏れるリップ音も雨の音で消される始末。それはそれでいいのか。
今でも照れくさくて慣れないキスに必死に応えるしかなかった。
やっと解き放たれたけど、照れくさくて胸をトントン叩く。
顔見れない。だって私すごく真っ赤だ。
「今日、泊まるかァ…?」
「へ・・?」
初めて言われた。心の準備が、というか色々と準備が!!
毛とか!下着とか!!毛て!
「なんもしねェからよ…」
そういう実弥さんの顔は見れなくて。
なんもしない、ってのがちょっと寂しい、ってことを伝えられず。
「映画でも見ましょうか!」
「おー、」
はぐらかしてしまう。ダメな私。
やっぱ魅力ないかな…密璃さんみたいにワガママボディになりたいな。
そんなことを考えながら二人でベッドで眠った。
以前運んでくれた時以来の寝室はとても綺麗なまま。
とたんに意識して恥ずかしくなってしまった。
ちょいちょい、と手招きするとぽすっとすぐさま腕の中。
「あったけェ…」
私は始終実弥さんの体温と匂いにくらくらしそうだったけど。
しばらく話をしていたらスースーと寝息が聞こえてきた。
あどけなさが残る寝顔にちょっとだけ親近感。
サラサラとした銀の髪の毛は意外と猫っ毛だ。ふわっふわ。
寝たら勿体ない、と思いながらもほどなくして意識を手放した。
窓の外は未だ豪雨のまま。
End
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