誰かと一緒に寝るのは本当に久しぶりだった。
その温かい体温と規則正しい寝息に、ただうとうと。
実弥さんという安心感につつまれて迎える朝。
ああ、仕事行きたくない。
彼氏のお巡りさん 27
まだ眠っている実弥さんの腕をするりと抜けた。
腕が重たくてちょっとてこずったけど…
軽めだけど、お味噌汁と目玉焼きと、昨日のひじきをよそってキッチンを後にした。
「(いってきますね)」
小声で語りかけてもうんともすんともいわない。
そんなに疲れてたかな?
離れがたいけど仕方ない。
少しぬかるんだ道を足早に職場へ向かった。
****
「マツさーん、今日半休で帰っていいぞ」
「え!良いんですか!?」
「人が足りてるからたまには帰れ」
上司に言われ、速攻帰る準備。
滅多にない半日!でもだったら休みの方がよかったなー。
そしたら実弥さんと居れたのに。まぁ仕方がない。
直帰すればいいのに、何故か足が向かず。
とぼとぼと町をふらつく。
コーヒーでも飲もう。
昨夜は初めてのお泊りだった。
今までもなんとなく甘い雰囲気になることはあったけど。
キス以上はしてこない。
私も付き合ってた人はいたし、経験がないわけではないけど。
それなりに気にしてたりする。
実弥さんならいい、って思うのに。
そんなに魅力ないかな…。
「はぁ〜…」
「久しいな!マツ!元気にしていたか?」
「わわわ!れ、煉獄さん!」
びっくりした!
窓際の席でコーヒーを飲んでいたら横からにゅっと飛び出してきた。
相変わらず声が大きいよー!
「どうした?浮かない顔をして。何か悩みでもあるのか?」
「…たいしたことではないんですが。。。」
こんなこと、男の人には話せない。
ましてや実弥さんのお友達!恥ずかしい!
「不死川のことだな…?」
自然と目の前に座る。
こうやって対面するのは初めてで、大きい瞳に吸い込まれそうだ。
キラキラの髪の毛がまぶしいです。
「俺は不死川とは長い付き合いだ。あいつのことはよく知っている。何でも話してみるといい。」
そこまで言われたら…だよね。
「実は、、、夜の話なんですけど」
「よ、よ、夜!?それは男女の営mふがっ」
「煉獄さん外出ましょう」
すぐさま煉獄さんの口を押えてカフェを後にした。
***
「…ということなんです」
「なるほどな」
ここは町の公園。
煉獄さんがおしゃれなカフェで男女のもごもごーって叫びだしたから連れ出して来た。
「私魅力ないですかね…」
「そんなことない!マツは素敵だ。自信をもっていい」
「でも」
「何も心配することない。不死川は誰よりもマツを想っている。信じてやれ。」
にかっと笑う煉獄さんの言うことはとても重みがある。
信用できる、というか。
「わかりました!信じます。そしてできることをやってみます!」
「うむ!努力することはいいことだ!だが、何を…?」
「ナイスバディになるために努力します…そしてちょっと大人っぽい下着を買ってみます!」
「 スケスケな下着だと!?男として不甲斐なし!穴があったらふがっ」
「れ、煉獄さん!」
誰もスケスケなんて言ってませんからー!
わーわーと話しをしたらちょっとすっきりした。
煉獄さんには何度も助けられてるなぁ。
ありがたい。声大きいけど。
それにしても男の人はスケスケが好みなのかな?それとも煉獄さん個人の意見?
「検討を祈る!」
そういって秒でいなくなった。
さすがだな。足早い。
さて、、もう夕方だ。そろそろ家に帰ろう。
すると、着信がなった。
実弥さんかな?と思ってみたけど見たら、田舎のお母さんから。
随分と電話をしていない。
「もしもし?」
【元気にしてるー?】
久しぶりの母の声。
「元気だよ。どうした?」
【あんな事件があったでしょ。心配で。】
「大丈夫だよ。」
そう、大丈夫。実弥さんがいるから。
【だからね、お父さんとも話したの。タケ、そっちは物騒だから、田舎に帰って来なさい。お母さんもうあなたを危険な目に遭わせたくないの。】
電話越しの母は心なしか涙ぐんでいる。
声聞けばわかる。
そうだ、誰よりも心配したのは紛れもない家族なんだ。
【ね、お願い。】
私は頭を何かに殴られたような衝撃がして、ただただ話を聞いていた。
End
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