普段通りにしようとするほど空回りする自分。
変なやつって思われてないかなぁ。
せっかく一緒にいる時間も、ぼーとしてしまう
言えばいいだけのことだ。
私はここに居たいって。仕事もまだこれからだ。
実弥さんだって居る。楽しいことがたくさんあるだろうに。
悲しそうな母の声色が未だ離れない。


 彼氏のお巡りさん  28 



「どうしたァ、考え事か?」
「へ?」
「いや、最近元気ねェきがしてよ。大丈夫か?」
「…すみません私!大丈夫です」
「なら良いけどよォ」


母が心配するのもわかる。
だってあんな事件があったんだもの。
無下にはできないけど、
私はずっとここに居たい。

「うめェな」
「はい…!おいしい」


実弥さんは無理に聞いてこない。心配してるんだろうけど…。


大好きな人がいて、毎日幸せなはずなのに。


「あ、私片付けます!」
「今日は俺がする。座ってろォ」

ポンと頭に手を置かれて目頭が熱くなった。
ズズ、と鼻をすする。


「泣いてんのか…?」
「いや、えと、」
「いやそれ泣いてんだろ」


台所に皿を置いたまま手をふいて、こっちに来てくれる。


「なんか嫌なことがあったかァ?」
違う。
「腹いてェか?」
違う、違うの。


「俺がなんか嫌なことしたかァ?」

「そんなことないです!実弥さんにはいつも感謝しています!」
がばっと顔をあげると、目元にキスを落とされた。

「ふふ、くすぐったい」
ぎゅっとされて実弥さんでいっぱいになる。
絶対的安心感。本当に好き。

「俺に話せないことか…?」
背中から聞こえる、少し悲しそうな声。

話してしまいたい。
ここに居たい、ずーーっと一緒に。
離れたくない。っていったら迷惑かな?

けど親は悲しませたくない。

都会へ行くのも人一倍心配して、応援してくれた母だから。


「無理にとは言わねェけどよ、タケが元気ねェのは、俺も辛い」
「実弥さん、、、ありがとうございます…もう少し、待ってください」
自分でも考えてみるから…自分がどうしたいか。

うつむく私の顔をむにーーーっとする。

「いひゃい!にゃにするんでふか!」
「ったく心配かけやがってよォ…おら」
「くすぐった!」

脇腹をつんつんされてくすぐったい。
ごつごつとした手は優しいのに、反対の手はがっしり私を掴んで離さない。
実弥さんてわりと甘えん坊な気がする…気のせい?

照れ屋なのに距離が近いの。
心臓がいくつあっても足りない。かっこよすぎて。



「逮捕された犯人って、判決はいつごろ…?」
「そろそろわかるころだ。だいたい懲役5年以下だがなァ」
5年したら出てくるってことか…。

「大丈夫だ。その…なんだ。お前は俺が絶対守るからよォ」

「ふふふ、頼もしいです…」

少し照れくさいことを言ったからか、プイとそっぽ向いた。
でも耳は赤い。
私まで照れてしまう。



「今日、、、泊まっていくか?」
「・・・はい!」


顔と顔をコツンと寄せて、頬を触る。
実弥さんはくすぐったそう。


片付けをすませて寝る支度をする。
明日は二人とも早いんだけど、まだ寝るには早い。
お互いにお酒を一本飲んで寝ることにした。



「実弥さん…」
「どうしたァ?」

この部屋に寝るのは三回目。いつも壁側に寝かせてくれる。
少し狭いけど、この距離感が気恥ずかしいのと安心するのと。

「私、まだ一緒に居たいんです」
「・・・居るじゃねェか。ここによ」
「実弥さん…」

そういって実弥さんのパジャマの隙間から見えた首元にキスをする。
酔っていた、と思う。我ながら。

「好きなんです」
「知ってらァ…」

いつの間にか天井に実弥さんがいて
ギラギラとした優しい目から目が離せない。


「大事なんです…んっちょ、、っと」
「黙ってろォ…」


目元、鼻、頬。首筋、、

そして胸元へと顔がおりてきた。


「実弥さっ…!」

はァ…と暖かい息がかかる。
私はビクッとして身を縮めた。
お酒が入ってるのもある。

だけど無理。
目の前の実弥さんがいつもの実弥さんじゃなくて
少し色気のある実弥さんで。
くらくらする。


「あんま煽るんなァ…加減ができねェ」

ジリ、、と暖かい感触とともに少しの痛み。

ほんのり赤い痕。
気づくのはもう少し先。


この幸せな時間がいつまでも続きますように。。




End


寸止め 笑




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