※呪◎のあの人っぽい人が出てきます!自己責任で…





ちゃんとお母さんに話そう。
実弥さんにもいつまでもこんな調子じゃ悪い。
そう決めたら向かうところは決まっている。

「ただいまー!お母さん帰ったよー!」

私は都会に出できて初めての帰省をした。
少し年を取った母に、父に、懐かしさを感じながら。

ふと、実弥さんが頭をよぎる。


 彼氏のお巡りさん  29 


実弥さんには、実家に帰省することだけ伝えて家を出た。


「大変だったわね、心配したわよ」
「私も怖かった。ごめんね、心配させると思って相談できなかった」
「で、考えてくれたかしら…?」
「うん、そのことなんだけどね…」


母にぽつりぽつりと話す。
仕事、大変だけど中堅で。
楽しく頑張ってること。
まだそこで勤めたいこと。
ここに戻ってくることはないと。

「そうなのね…タケの決心は固いのね」
「うん、それに友達もできたんだよ!皆とっても優しくて。」

優しくて、温かくて、大切な人たち。
宇随さん一人を除く、なんちゃって。


「ありがとうね。心配してくれて。」
「帰ってきてくれたら嬉しかったんだけど。でもお父さんがなんて言うかしら〜…聞いた?お見合いの話。」
「へ!?!?」
「お父さんの取引先の会社の人でね、かっこいいのよー!背も高くて!あんたもいい年でしょ。会ってみない?」
「いいよ!私なんか!」
「そお?お父さんが話はつけてるっていってたわよ〜」

なんてことをするんだお父さん!

「勝手にされたら困る!相手にも悪いし!」
「あら・・・?もしかしていい人がいるの…?」

にやにやとお茶をすすりながら見てくる母に若干の苛立ち。

「まぁ〜いい人がいるから帰りたくないならお父さんなんて言うでしょうね〜…」


確かに。彼氏がいるから帰らない、なんて言ったらどうなるか分からない。

「お父さんの付き合いもあるし、少しだけ会ってみたら?会って断ればいいのよ」


その方がいいんじゃない?
と、あれよこれよと言われるがまま明日にでも来ることになった。


会うつもりはない。
だって彼氏がいるのに。
相手にも申し訳ない。実弥さんにだって…

だけどお父さんの面倒臭さを考えたらそっちの方がいいのかな…
断ればずっと言ってきそうな気がするし。
諦めがついてくれたら。




そして今日、その人が来ることになった。
早く切り上げて最終便に間に合えば帰りたいところだが…

【父さんからみてもとても真面目で、仕事のできるいいやつだ。お前には勿体ないくらいの男前だ。よろしく頼むぞ!】

バシバシと背中を叩かれぎろりと睨みかえす。
この親父、ただじゃおかないからな。


※※※



目的の場所は昔からあるコーヒー屋さん。
昔のままだ。懐かしいな。
待っているとほどなくして話しかけられた。



「マツさん…?」
「は、はい!すみません今日は!」
がばーっとお辞儀をして謝る。さっさと話して帰ろうと思った。
「いつまでよそよしくしてるんですか」

ぱっと見上げたその顔は、同じ部活の先輩がいた。

「七海先輩!?」
「正解。よく覚えてましたね。」

お父さんが紹介したいという人は七海先輩だったの?

色々と聞きたいこともあったけど

「まぁここで立ち話もなんだから、入りましょう。」

重たい扉を開いて中へと向かう。


***


「まさか七海先輩だったなんて!」
「君のお父さんにはお世話になっているんですよ。」

七海先輩。同じ部活の先輩。
それにしてもかっこよくなったな〜

は!!いけない!

実弥さんのほうが百万倍かっこいい。

「先輩、すみません。先に謝っときます。私、彼氏います。」

チラ、と見るとはぁーーとため息をついている。

「見ればわかります。シャツのボタン、閉めた方が良いですよ。」

涼しい顔でコーヒーを飲む。


「へ?なんで?」


さっき会ったばかりなのに!話してないよ?
咄嗟にボタンを閉めようとみた先に、じんわりと広がる赤色。

キスマーク

というより噛み跡のような。。

「ーーー!!!」

実弥さんー!
そういえばこの前止まったときにジリっとしたような…

「飼い犬にでも噛まれましたか。」

「ーーっ違います!父が、勝手にすみませんでした…」

「謝られると不愉快です。気にしないこと。それに、私もここをもう少しで離れます」

「へ!?それ、父は?」
「まだ言ってないですが。」

どうやらやりたい仕事があるみたい。

「君の今すんでいる場所と同じところへ。」
「来たら案内させてください!」
「・・・彼が怒りますよ。駄目です。」
「ケチですね。」

ズズとアイスコーヒーを飲む。もう氷しか残っていない。

「結構。そうとなればここにいる時間は無駄です。帰りましょう」


父には、昔の知り合いので駄目だったって口裏合わせてくださいね、と二人で笑った。



「いつまでこちらに」

私の実家へと送ってくれてるみたいでお言葉に甘えた。

「もう、帰るんです。仕事もあるし…」

早く実弥さんに会いたい。

だってもう帰ってこなくていいんだもん。
実弥さんのとこに居ていいんだ。
仕事だって、続けられる。



「空港まではどうして…?」
「バスです」
あ、でも最終の便に間に合うかな?


すると、ふむ。。と考えてる七海先輩。


「送りましょうか」
「良いんですか!?!?」


ぴょんぴょん跳ねる私にため息をついている。
送ってくれるなら最終に乗れる。
今日のうちに帰り着けば実弥さんに会えるかもしれない。


「高くつきますよ」
「お金とるんですか!」



一旦家に二人で戻ってことの経緯を両親に話した。
残念がっている両親にさよならし、家をあとにした。




***


「ありがとうございました!久しぶりに会えてよかったです」
「こちらこそ。あちらでもお元気で」
「連絡先教えてくださいよ!」

そういうと少し黙っている七海先輩。


「やめておきます。連絡する用事もないので。」
「相変わらずですね。」
「それに恨みを買うのはごめんですから。」
きちんと躾を、と耳元で囁いて七海先輩は帰っていた。
どういうことだ?






聞き返そうと、振り返った瞬間と同時に腕を強く掴まれた。




「…タケ…!」
「さ、実弥さん!?」




End





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