「はあ!?そのあと実家に帰っただぁ?!」
「ッチ…うるせェな…そうだよ」
「それは所謂営んでないふがっ」
「…でけェ声で言うな…」
余計に気にするじゃねェか。
タケのいない夜はまだまだ長い。
彼氏のお巡りさん 29⁺
タケは実家にしばらく帰るとだけ言って去った。
いてもたってもいられなくて煉獄を誘ったが…
宇随付きだった。まぁ想定内だがな。
「おいおいそこはもうするしかねえだろお?なんで寸止めなんだよ」
「…駄目だろ。色々と。あのまま寝ないと抑えがきかねェところだった」
少し酒の入ったタケは、いつもと違って積極的で。
思い出しただけでもどうにかなりそうだ。
「頭固ぇなおい!好きならとっととしちまえよ!」
「宇随待て!不死川はマツが大切だからだろう?」
「…んだよ。そんなん決まってんじゃねェか」
大切なんだ。
傷つけたくなくて、守りたい。一緒にいてほしい存在だ。
それは昔も今も変わらず、むしろ募る一方で。
俺ばかり一方的じゃないか?と不安になったりもする。
らしくねェ自分に笑えてくる。
「でもよォ…おまえら付き合って結構たつだろ?進展なしだと逆に不安になるかもわからんぜ?女ってのはよ」
「んな簡単に手ェだせっかよ。」
「…宇随の言うこともあながち間違ってはない。実際マツは悩んでいたしな!」
「な゛!煉獄、それ」
「言わない方が、と思っていた。偶然出くわした時にな…」
さらっと内容を聞くと、血の気が引いた。
タケの様子が少しおかしかったのはこれか?
「スケスケの下着を買うと言っていたぞ!」
ブバーーーーー!とビールを吐く二人に煉獄はきょとんだ。
盛大にむせた。
今時スケスケとか言うかよ。
「おま、、そんな趣味だったなんてな!!!」
「ぶっ殺すぞてめェ…ざけんな!」
俺はタケならなんだっていい。
でもいまはそういうことじゃない。
「不死川を信用してやれ、といった。だから不死川もマツを信じてやってほしい。」
煉獄は本当にわかってんだか、わからねェんだか。
「ちゃんと考えてるんだろ?この先のことを」
煉獄の言う通りだ。
俺は、タケに伝えたい事がある。
この先のこと。しょうもねェかもしれないけど
「でもよ…タケ帰るって言ったんだろ?大方親が心配してるとかじゃねぇのかよ。」
「あんな事件に遭ったしな、無理もない。」
「何も聞いてねェんだよ。聞いても答えないっつーかよォ」
「そりゃお前に心配かけたくないからだろ。まーなんだ。地元に帰っていい男でもいたらどうすんだ?あいつ結構可愛いしな。自分が気づいてないだけで結構胸も…」
バキっと割りばしが折れた。
宇随は別としてタケをそう見る人はいるはずだ。現にいたからあんな事件に巻き込まれた。
「見合いとかさせられてたりしてなぁ…感だけどよ。田舎はそんなんしょっちゅうあるだろ。」
見合い…という言葉。
考えもしなかった。
相変わらずつながらない電話。こんなに不安に思ったことなどない。
それに宇随の勘は鋭い。
「煉獄、甘露寺に電話できるか?」
「できるが…」
「タケの地元聞いてくんねェか?あれこれ言ってても埒があかねェ」
直接会って話す。
今までのこと、そしてこれからの事を。
そう決断したら話は早い。
「俺は帰るぜ」
「おう。まぁ検討を祈ってるぜ?」
***
甘露寺から聞いてもらった地元は思ったよりも近かった。
田舎田舎というもんだからどんだけ遠いか心配したが問題なさそうだ。
夕方には着きそうだがどこに行けばいい?
考えながら運転するも、見当もつかず。
何時間も運転してやっと着いた。
「休憩すっか」
途中立ち寄ったコンビニで一息。
そういえばろくに食べていない。
昔帰省は飛行機で、と言っていたのを思い出し、とりあえず空港に向かう。
一度、着信をいれた。
けど出ないままだ。何もなければいいが…
「タケの事になるとこのザマだ…」
我ながら失笑する。
とんでもないことをしていると思う。
それでも伝えたい、そして渡したいものがある。
ポッケにいれた小さい小箱を握りしめ、車を降りた。
何時間、そこに居座っただろう。
下手に知らないところを探すより良いと思ったが読みは当たらなかったか?
明日には帰らないといけないからビジネスホテルを検索する。
「まぁ…そう簡単には…」
項垂れているところだった。
遠目に見えたタケの姿。
横には見知らぬ男。
【いい男がいたらどうするんだ?】
宇随の言葉がこだまする。
ああ、あいつは悪い勘だけは当たる。
怒りとは違った感情がふつふつと湧きだし、駆け出していた。
やっと見つけた。
End
前◯次◯小説トップ
top