この前と一緒。また立ち上がるのに手を貸してくれた。
ふと掴まれた腕に、ビクッとしてしまった。
隣のお巡りさん 07
「ごめんなさ、」
「悪かったなァ…苦手だったろ。」
「いや、そんな訳じゃ、ちょっとびっくりして。」
しばしの沈黙。
じっと掴んでいた腕をみていた。
「跡、、ついちまったな。。」
さっき掴まれたところがうっすらと跡になっている。傷ついた顔をしてるように見えた。
不死川さんのせいじゃないのに。。
少し息の切れた彼を見ると、スウェット。
「すみません、やっぱり休まれてましたよね…」
おずおずと謝罪する。そりゃそうだ。時刻は22時前。当然ゆっくりしてるだろう。
何も言わない不死川さんを見るとめっちゃ怒ってる。
そりゃ何も言わなくともオーラでわかる。きっと休んでた時に邪魔されて怒ってるんだ。
頭をガシガシ掻いて深いため息。
「はあァァー…。お前な、こんな時にそんな事考えんなァ…」
「で、でも」
「どうせ電話する前も躊躇してたんじゃねェか?」
うっ!バレてる!
「図星だろ。すぐ連絡しろって言っただろ。」
「はい・・・。でも、休まれてると思って」
「今度躊躇したら殺す」
殺す!?お巡りさんがそんなこと言っていいの!?
「そしてあいつもなんとかする。」
そういった顔は何故か悲しそうな気がした。
てくてくとマンションへ歩いて帰る。帰り道の街灯って案外少ないんだな。
いつも足早の帰ってるから気づかなかったけど。
「妹が被害に遭ったんだよ」
「妹さんが?」
「おまえと同じようなのにな。」
そうなんだ。大事な家族が被害に遭ったら悲しいもんね。
実際私も誰にも相談できていない。
大切な家族だって、きっと傷つく。
(というか早く帰ってこい!って言われそうだし)
「同じ男としてもな。許せねェんだよ。」
「不死川さんって長男ですか?」
「んだよ。」
だから面倒見がいいんだ!妙に納得した。
「一度ならず二度も助けていただきありがとうございます。」
「ったくおまえは…」
「おまえおまえって!そういえばさっき名前で呼んだじゃないですか!下の名前も知ってたんですか?」
「お巡りだからなァ。」
お巡りさんってすごい!じゃなくて…
「私、おまえって名前じゃないですからね!タケって名前がちゃんとあります!」
「何が言いたい…」
ほんと、何が言いたいんだろう。
名前で呼ばれてちょっとドキッとした。
ここ都会で下の名前で呼ばれるなんてことなかったから。そういう意味でだと思う。
「べ、別におまえでも良いです…。」
そういうとまた、ほら。あの笑顔。
たまにみせるその顔、好きなんだ。きっと、この笑った顔が。
「不死川さん、もっと笑ったほうがいいですよ」
「ああ“?」
「だって!こんなに」
こんなに…
優しくて、かっこよくて、面倒見がよくて、強面だけど笑うと素敵で。むずむずするの。
・・・
ん?かっこいい?むずむず?
「なんだよ。なんか文句あんのかよ」
文句なんて、、、あるわけない。
「もったいないんです!!!」
「はァ!?意味わかんねェ…さっさ帰るぞ」
そういう不死川さんは、歩幅を合わせてくれてるみたいで。
心がポカポカした。
「電話のときすぐ切ったじゃないですか、近くのコ、で」
「コンビニしかねェだろ」
「近くのコス◯コだったらどうしたんですか!?」
「馬鹿にしてんのかてめェ…」
シイイイィイと息を吐いてにらんでる
怒らせると怖い。。でも、本気では怒ってなさそう、なんとなく。
「団子」
「え?」
「時間外出張料なァ」
End
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