杏寿郎から逃げるように風呂から上がり、髪の毛を乾かし、ボディクリームを塗りたくる。
部屋に置いてあった浴衣を着て、水をがぶ飲みし、ベッドに寝転がる。あのままされてたら…お風呂場で…最後まで…致してたのであろうか…


ひまわりに落ちる 16


タケが上がった後の風呂。風呂場で初めては流石に無理だと思った。でも、体温が上がりほんのりとピンクに染る頸、細い肩を見てしまうと手を出すなと言う方が難しかった。

「ホントごめん!倒れそう。先に上がるね!」と言ってこちらを見ることなく上がっていったタケを見て笑いが出てきてしまった。
夜はまだ長い。


風呂から上がるとタケはベッドで寝ていた。布団をかぶらないと風邪をひくぞと1人言い、タケの下にある被り布団をかけようとした。
「うぅ…」と声が聞こえたと同時に寝返りを打った。起こしてしまったか、と様子を見てしまったのがダメだった。
浴衣の合わせから見える白い足、男にはない柔らかい胸の膨らみ。

こいつは…どんだけ俺を煽れば気が済むんだ。

「タケ。タケ。起きろ。」
肩を揺らして声をかける。
「んぁ…きょうじゅろぉ…おふろからあがた…?」
「ああ。」
完全に寝ぼけてる。そんな姿も愛おしく感じる。ここはもう風呂場じゃない。
そしてタケの唇に己の唇を重ねた。
首筋にも唇を落とす。
風呂に備え付けられてたシャンプーでもボディソープでもない、とてもいい匂いが鼻腔をくすぐり、俺をもっと熱くさせる。

「…ん……ふぁ…杏寿郎…」
「煽るタケが悪い…もう、止められんぞ」

その一言でタケの目が見開いた。だが、もう逃がさん。

「杏寿郎っ!待って」
「待たない」
「違うの…話を聞いて」

聞く余裕なんてあるはずがない。
タケを組み敷き、続きを始めようとした時だった。

「あのっ…本当に…ほんとにこういうことが…初めてなの…だから…」

タケが意を決したように俺の首に腕を回し、ピタッとくっつき、耳元で囁いた。

「おねがい…だから…やさしくして、ね…」
「……善処する……あまり煽ってくれるな…」

そこからはお互い無我夢中に求め合い、
とうとうずっと恋焦がれてたタケとひとつになれた。





コトが終わり、疲れ果てて寝ているタケの頭を撫でる。
水でも飲むか、とベッドから足を下ろした時、自分達が無我夢中で脱ぎ散らかした浴衣や下着が落ちてるのに気がついた。
一つ拾って見てみる。

「タケはいつもこんなのを着用していたのか…」

……けしからん。総レースとは。
他の人に見られた時はどうするんだとか色々言いたいことはあるが、今言うことではないだろう。
水を飲み、ベッドに戻る。
幸せそうに寝ているタケを抱きしめて、自分も眠りについた。




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