ひまわりに落ちる 23
いつの間にか時間が経っていた。
時間を忘れて佐藤さんにたくさん杏寿郎の良さ(いわゆる惚気)を語っていた。聞き上手とはこのことかと思った。
隣に座る佐藤さんが「もうこんな時間か。そろそろ帰ろうか。」と言った時に時間を見たら終電がちょうど走り去ったくらいの時間だった。
お会計を済まし(佐藤さんが払ってくれた)、店を後にする。
「タケちゃん、終電乗せられなくてごめんね。タクシー代渡すから…」
「佐藤さん、先程の店でお支払いまでしていただいたのに更にタクシー代までいただけません!」
「大丈夫。こう言う時くらい男に甘えなさい。」
「重ね重ねすみません…」
「謝らないでよ。」
「ありがとう…ございます」
「それでよし!」
タクシー乗り場まで2人で歩いていると、前から見知った顔たちが歩いてきていた。
「タケ?今帰りか?」
「あ、杏寿郎。みんなも。」
「ちょうどこの辺りで飲んでてな!これから宇髄の家で飲み直そうと言ってたんだ!……で、この方は?」
「あ、こちらは今日の接待で一緒だった佐藤さん。接待がうまく行ったからプチ二次会してたの。」
「そうなのか。こんばんは!タケがいつもお世話になっております。煉獄杏寿郎と申します。」
「こんばんは。佐藤です。こちらこそお世話になってます。タケちゃん。もしかしてこの人が…?」
「はい。さっきお話しした人です」
「そっかそっか!この方がねぇ…」
「佐藤さん何ニヤニヤしてるんですか?」と私が言うと、佐藤さんは私の耳元でコソッと「さっき聞いたまんま、明朗でいい人そうじゃん。」と呟いたあと、頭をくしゃっと一撫でして「じゃあまた今度惚気でも聞かせてよ」と言って去っていった。
「派手に修羅場になるかと思ってたけど、なんだつまんねぇ。地味に普通だったな。」
「…うむ!タケの職場の人に挨拶ができてよかった!」
その後、私も杏寿郎と一緒に宇髄くんのマンションに転がり込み、ひさしぶりにベロベロに酔っ払った。
いつの間にか寝落ちしており、目が覚めると杏寿郎に宇髄くん、不死川くんに冨岡くんが床で寝転がっていた。
時刻は午前5時になりそうだった。
杏寿郎はそろそろ起きるかな?でも結構な量飲んで食べてたから今日は起きるの遅いかな?なんて心の中で思いながらみんなを起こさないように洗面所へ向かい、ドアを閉める。
鏡を見てゾッとした。化粧も落とさずに寝てたから顔がひどい。宇髄くんから許可を得ていたのでクレンジングと洗顔、化粧水などを拝借する。
クレンジングでクルクルと化粧を馴染ませる。
このクレンジングすごい。ちゃんと落とされてる感がすごい。いいお値段のやつだわ。
クレンジングの後に洗顔を洗い流し顔を上げると鏡越しにいつのまにか居た杏寿郎と目があった。
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