「煉獄。状況説明」



ひまわりに落ちる 25




「ハイ。全員起きろー。二日酔いでも起きろー。不死川起きろー。」
「…ッチッ…うるせェ…」
「冨岡も起きろ。」
「う…ん…姉さん今日は休みだ…」
「ハイ寝ぼけんなー」
「…で、なんだよ朝っぱらから…」
「おはよう…」

せっかくいい気分で寝ていたのに宇髄に叩き起こされた。そして朝から心なしか落ち込んでいる様子の煉獄。
まだポヤポヤしている冨岡。
宇髄がコーヒーをそれぞれに手渡す。
そして昨日一緒に飲んでたはずのタケがいねェ。

「そういえばタケは?宇髄のベッドで寝てんのかァ?」
「タケ、洗面所で煉獄とイチャイチャしてるかと思ってたら、派手に泣きながら出て行ったんだよ。ほら、煉獄。状況説明」
「はァ?なんで泣いてたんだァ?女を泣かすなんていい度胸してるじゃねェか。」
「煉獄…なにがあった。」

「昨日、タケと会った時に佐藤という同僚が隣にいて、挨拶をしたんだ。」と話し始めた煉獄。

「タケが接待だった事は連絡があって知っていたんだ。そして一緒に接待をしていた佐藤という奴と二次会に行った。その二次会の帰りに俺たちと会ったんだ。」

そういえばタケの隣に爽やかな野郎が立ってたな、と思い出す。

「そしてその佐藤がタケとの別れ際に耳元で何かを囁いて頭を撫でて帰っていった。
それを見て自分の心の中に黒いモヤがかかった。酒も飲んでいたから酔ったのだろうと思い、タケも一緒に宇髄の家に連れて行った。ここで飲んでる時も、目が覚めても、ずっとあの光景を思い出してしまい、モヤモヤしてたんだ。」
「んで、続きは?」

「そのモヤモヤの原因を突き止めようと、タケに佐藤から何を言われたかを聞いたんだ。するとタケが頬を赤く染めて俺には関係ない、でも悪口ではないからって言ったんだ。」

それを聞いてモヤモヤが真っ黒に染まった。
力一杯肩を掴んでしまった。
泣いて嫌がるタケに無理矢理口付けてしまった。
ちょうどその時に宇髄がやってきて俺の手からタケが離れ、出て行った。追いかけることもできなかった。大事な人なのに、泣かせて、傷つけてしまった。

煉獄が一気に話をした。それって、その佐藤って奴に嫉妬したんじゃねェのか?と周りを見渡すと宇髄も同じことを思ってたのか目があってしまった。

「煉獄。それは嫉妬というものだ。相手が嫌がることをした。それはしてはいけないことだ。生徒たちにも常日頃言っているだろう。」

今まで黙っていた冨岡がいきなり話し始めた。宇髄も俺も驚きを隠せなかった。

「俺は体育教師だ。保険の授業も行う。思春期の生徒の気持ちも多少は分かる。一番自分がスッキリする方法を教えてやろう」
「なんだと!冨岡!よろしく頼む!」

ムフフ…と笑う冨岡に嫌な予感しかしねェ。

「冨岡ァ。余計なことを言うんじゃねェ。これは煉獄とタケの問題だろ」
「そ、そうだぜ冨岡。生徒じゃねえ、派手にいい大人なんだから自分たちでどうにかさせろ…」
「構わん冨岡。冨岡の考える方法を教えてくれ!」

「それはな、直接その佐藤に何を言ったのか真っ向から聞きに行くことだ」

ドヤサァ!という効果音が着くんじゃないかってくらいのドヤ顔で言い放った冨岡。

「む!そうだな!それが一番いい方法だ!早速だが俺はタケの会社の前で待とう!」
「がんばれ。煉獄。」
「冨岡。助言、感謝する!」


ああ、こいつらもうダメだ。
俺と宇髄は天を仰いだ。




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