「父上、母上。少しよろしいでしょうか」



ひまわりに落ちる 06



煉獄家の玄関前で繋いでいた手を離し、家の中に入る。槇寿郎さんは縁側で新聞を読み、瑠火さんは台所にいた。いつもの休日の風景。
杏寿郎が2人に声をかけ、居間のテーブルに向かい合って座った。

「杏寿郎、なんだ突然。」
「そうですよ杏寿郎。それにタケさんまで。何かあったのですか?」
「お2人にご報告があります!この度杏寿郎とタケは、恋仲となりました!!」
「ブハッ!!!」
「あら。」

槇寿郎さんが飲んでたお茶を吹き出し、瑠火さんは片手を口元に当てていた。

「槇寿郎さん!大丈夫ですか?!」
「あ、ああ。それよりも杏寿郎、タケさんと恋仲になったと言うのは…どう言うことだ?」
「はい!本日より恋仲となりました!」
「今日から?!」
「何か問題が?」
「杏寿郎、タケさん問題などありません。父上と私はあなたたち2人はずっと前から既に恋仲なのだろうと話をしていたのですよ。だから今日までお付き合いをしていなかったと言うことに驚いて父上はお茶を吹き出したのです。」
「そうなのですか?父上!!」
「瑠火!そこまで詳しく説明するな!」

なんでお茶目なんだ。槇寿郎さんは…と頭の中で思っていたら、瑠火さんもまた、一つの爆弾を落としてきた。

「良いではないですか。息子と娘のめでたい話なのです。私は2人の結婚の報告やもしかしたら子供が出来たとかの報告だとおもっていたのですから。」
「よもや!!!母上!!」
「瑠火さん!何言ってるんですか!!」
「あら。そうなっても私は嬉しいですよ。実はこっそりタケさんのお母様とはそうなったら楽しいわねと話をしています。」
「うちの母とそんな話をしていたんですか?!」

まさか私の母とそんな話をしていたとは思わなかった。いつもより饒舌に話す瑠火さんを見て少し気恥ずかしくなる。

「瑠火。落ち着きなさい。えー…あー…杏寿郎、タケさん。2人が恋仲になったというのはめでたいことだ。2人ともいい大人だしな。杏寿郎。ちゃんとタケさんのことを大切にするんだぞ。」
「はい!」
「タケさん。杏寿郎の事をよろしく頼む。」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。」
「では今夜はご馳走を作らねばなりませんね。タケさん。手伝っていただけますか?」
「もちろんです!瑠火さん!」

そう返事をすると瑠火さんがじっとこっちを見て一言言った。

「タケさん。貴女はもう私の娘です。私の事は名前ではなく母と呼んでください。」
「さすがです母上!!さあ、タケ!母上を呼ぶのだ!」
「お…お母さん…?」
「はい。」
「タケ!父上も呼んで欲しそうにしている!」
「き…!杏寿郎!お前!」
「呼びますよ!お父さん!!」
「あ、あぁ…」

バサッと新聞を顔に持っていく槇寿郎さん。
その様子を見た杏寿郎がまた声を上げた。

「父上の顔が赤くなっている!照れ隠しだな!」

4人で笑う。
杏寿郎も槇寿郎さんも、瑠火さんも、大好き。




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